予想はしていたが、ヤクルトも楽天もWBC組が不在だった。だが、そんな時こそ、生き残りにかける若手たちの研究熱心さを感じることができる。ヤクルトは4年目武岡のフォームに、青木から学ぼうとの意欲があった。楽天のブルペンでは3年目の内が、オリックス山本由伸を連想させる左足の使い方をしていた。
どちらも開幕1軍に必死な毎日だろう。彼らにはWBCは無縁と言える。そこにあるのは先輩から「学ぼう」という貪欲だ。みなさんは「まねぶ」という言葉をご存じだろうか。語源には諸説あるが、私は、教えてもらって習得することだと理解している。2人とも、一流選手をまねすることを入り口に、自分のものにしようと奮闘している。
武岡は青木に比べると「間」の取り方がせわしなく映る。もちろん、合う、合わないもあるし、ここから先はオリジナルの技術に昇華していく難解な作業に入る。それでも、どんな選手であれ、まずはスーパースターをまねするところから始まることを思えば、そのトライアルは正しい努力に映った。
野球界では、これから最先端の技術が結集する国際大会が始まる。既にダルビッシュは巨人戸郷にアドバイスし、球界トップの山本も多くの若手投手に模範を示している。
WBCという真剣勝負の中で磨かれた新しい技術は、やがてNPBの各チームに還元されるだろう。この日、ヒットは出なかったが必死にボールに食らいついた武岡、山本にヒントを得たと思われる内は打者1人を抑えた。こうした姿は他の選手にも、大切なヒントになるだろう。
「まねぶ」という問題意識によって、またひとつ日本の球界がレベルアップする兆しを、はからずもこの日の練習試合でじっくり観察することができた。「まねぶ」若手が、どんな個性に成長するか、楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)




