2連勝から3連敗したソフトバンクは、日本ハムに逆王手をかけられていた。言うまでもないが、チームの勢いは完全に日本ハムにあった。特に脅威だったのは絶好調のレイエスを中心にした強力打線で、ソフトバンクの勝利は中4日で先発するモイネロのピッチングにかかっていた。日本球界NO・1左腕の実力に頼るしかない状況だった。

モイネロとレイエスの対決は緊張感があり、見応えがあった。しびれたのは初回2死からの第1打席の初球だった。ど真ん中へ、151キロの真っすぐを投げ込み、フルスイングしたレイエスは空振り。決してど真ん中を狙って投げたわけではないだろうが「打てるものなら打ってみろ」というエースの意地が詰まっている1球だった。ここまで、ビビりながら打たれまくっていた投手陣。チームに立ち込めた弱気な雰囲気を振り払うような球だった。

もちろん、気持ちだけで抑えられるほど、レイエスは甘い打者ではない。しかし、今試合のモイネロは、自分の持ち味をいかんなく発揮した。3度の対戦でレイエスには11球を投じたが、そのうちの7球をインコースへ投げた。6回1死からの3打席目、1発狙いのレイエスに対しての攻めが圧巻だった。初球の内角低めの真っすぐがボールになると、バッティングカウントの2球目は内角やや高めにカットボールを投げ込んだ。どん詰まりのセカンドフライに打ち取った。

すべての球種が決め球になるモイネロだが、今試合でよかったのが内角への真っすぐとカットボールによるコンビネーション。レイエスの第3打席のように、右打者の内角に食い込んでくるクロスファイアに加え、同じコースへのカットボールが威力を増す。真っすぐの軌道よりストライクゾーンの内側から入るため、思わず打者が打ちにいく。すると、カットボールは真っすぐの軌道より懐に食い込んでくる。これを見分けるのは至難の業だろう。

頭が下がるのは、投球技術だけではない。前回の登板は接戦で110球を投げ、そこから中4日の先発だった。大一番での接戦で、想像以上の疲労があったはず。ソフトバンクは勝ちパターンで藤井、松本裕、杉山がいる。なんとか6回まで抑えてくれればいいと思っていたが、7回まで投げて1失点。力勝負で内角を攻めた結果、詰まらせて打ち取るケースが多く、球数は93球だったが、予想より1イニング長く投げてくれた。

モイネロに救われたソフトバンクだが、日本シリーズは5日後の25日から始まる。CSは中5、中4と続いているだけに初戦には先発できないだろう。2戦目だとしても中5日になる。強敵の阪神を相手に、モイネロのピッチングなしでは勝てないだろう。土壇場の窮地を救ってくれたエースのためにも、日本シリーズでは打線が援護し、好勝負を見せてほしい。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対日本ハム 6回表日本ハム2死、郡司を遊ゴロに仕留め雄たけびを上げるモイネロ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対日本ハム 6回表日本ハム2死、郡司を遊ゴロに仕留め雄たけびを上げるモイネロ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対日本ハム 6回表日本ハム1死、レイエス(手前)を二ゴロに仕留めたモイネロ(撮影・林敢治)
ソフトバンク対日本ハム 6回表日本ハム1死、レイエス(手前)を二ゴロに仕留めたモイネロ(撮影・林敢治)