ロースコアの結果だけ見ると、ヒリヒリする攻防を連想するだろうが、個々のプレーを見ると、かなり粗さ、雑さが目立った。
事細かに指摘するのはこちらも釈然としない。言えることは、ベンチが策を弄(ろう)しても、選手が思った動きができない時もある。この試合で象徴的なところで言えば、阪神が1点を追う6回無死一、二塁。打席はシリーズ不調の大山。タイミングは合っていなかった。
しかし、22年6月以来、バントはしていない。どうするのかと注目していたが、さすがにベンチはヒッティングを選択。だが、追い込まれての浅い中飛。恐らく大山も右方向の意識はあったと思うが、それでも思うに任せないほど状態が悪いのだろう。明らかにタイミングはズレており、あっけない飛球だった。
ソフトバンクも3回無死二塁で8番海野が進塁打も打てずに高めのボールを空振り三振。さらに5回も無死二塁で打席が回ってきた。さあ、どうするんだろうと思っていたら、バントの構えからのバスター。
それが中途半端な一ゴロ。牧原大が挟殺で刺され、海野も二塁で憤死。まあ、ベンチの思惑と、選手の働きがこうも食い違うものかと、見ていて若干の消化不良を感じた。
8回、周東のバントヒットは三塁線への際どいゴロ。見送ればファウルの可能性もあったと感じたが、佐藤輝は捕っても間に合わないタイミングで素手でつかみ、それでいて送球せず。投げないなら捕らずに見送るべき。こうしたプレーが随所に散見され、珍しいほどの雑さが両チームで繰り返された。
それを救ったのは、両チーム投手陣にほかならない。特に藤井は7回にエラー、パスボールで1死三塁の大ピンチを背負うも、連続三振で切り抜け、これが大きなポイントとなった。
本来ならば、両チーム投手陣の出来の良さならば、走者も出ないほどの締まった試合になるところも、ミスとエラーが交互に飛び出し、塁上はにぎわったが、最後までスカッとしたタイムリー欠乏症のまま。佐藤輝と柳町の適時打、山川の1発、それ以外は、ファンの期待と脱力がかなり重なった試合だった。
ソフトバンクが白星先行したが、守備、攻撃面での悪い流れを払拭しなければ、まだまだ先は見通せない。阪神もこのままズルズル行かないためにも、アグレッシブかつ正確なプレーを。そうでなければ、好投している投手陣が気の毒なほどだ。(日刊スポーツ評論家)




