来春のWBCを見据えて、3つの点に注目した。
(1)ピッチクロック 「慣れ」しかない。先発の曽谷は3回をパーフェクトに抑えたが、ピッチクロックへの対応を見るためには走者を出してからの方が大事ではあった。とはいえ、結果は文句なし。テンポよく投げられ、球の出どころも見にくい。初見ばかりの国際大会で力を発揮しそうだ。
2番手の森浦のしぐさが気になった。1球1球、投げる前に耳付近に手をあてピッチコムの受信機を押さえていた。曽谷には見られなかったこと。機器の不具合だったのか分からないが、これでは100%投球に集中できない。結果、制球が定まらず2本塁打を浴びた。投球リズムに影響がなかったとは言い切れない。解決策は冒頭に書いたとおり「慣れ」。あとは、ピッチコムを使わないのも手だと思う。制限時間内に投げられるなら、慣れ親しんだサインのやりとりでもいい。
いずれにせよ、WBC本番までピッチクロックの実戦機会は限られる。投手だけでなく捕手もそう。15秒ないし18秒は慣れないとあっという間。逆に言えば、慣れれば意外と間も作れる。来春キャンプでは、ブルペンから意識して慣れていく必要がある。
(2)捕手争い 今回選ばれた4人のうち、3人が来春メンバーに残るはず。バランスを考えれば、唯一パ・リーグの若月は残したいし、ディフェンス力なら坂本。残る1人を第3捕手と考えれば、試合よりブルペンでの役回りが求められる。その点では前回大会を知る中村となるが、打力を買って岸田も捨てがたい。この日は中村も、岸田もバットでアピールした。井端監督はうれしい悩みを抱えた。
(3)野手 メジャーリーガーの出場はまだはっきりしないが、出場OKとなれば当然、DH大谷、外野は鈴木、吉田、内野は米移籍1年目となる岡本、村上が入ってくる。今回のメンバーにはかなり狭き門となるが、この日は野村と西川が目に留まった。
野村は7回に左前打を放ったが、5回の天井直撃の打球がすさまじかった。ファウルとなったが、パンチ力がある。足も速い。何より内野ならどこでも守れるのは、メンバー数が限られる国際大会では貴重だ。西川はポイントが近くても打ち返せるのが特長。引きつけられる分、メジャーで主流の動く球に対応でき、逆方向にも打てる。この日の右方向への2安打が証明している。
前回大会はいなかったメンバーも代表に入りそうだ。彼らが国際大会で成長することは日本の野球界に大きなプラス。そういう視点でも、次のWBCを見たい。(日刊スポーツ評論家)




