プロとして、聖地に帰ってきた。阪神のドラフト2位ルーキー、小幡竜平内野手(18=延岡学園)が高校3年の春以来、プロとしては初めて甲子園のグラウンド立った。

5月31日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦。今季初めて、2軍主催試合が甲子園で行われた。小幡は9番遊撃で出場し、2打数無安打。安打こそ出なかったが守備ではしっかりゴロをさばき、思いを新たにした。

18年の第90回センバツ。国学院栃木と初戦を戦った延岡学園(宮崎)の4番遊撃として、初めて甲子園の土を踏んだ。結果は4打数1安打1打点。1本タイムリーを放ったが、5-9で敗れた。守備では失策の記録こそ付かなかったが、自らのミスを今でも覚えていた。

「甲子園は高校の時に1回、守備でエラーをしてしまったので、ちょっと嫌な変な気持ちはありました。けど、初回にいきなり(打球が)飛んで来て、すごくいい感じで捕れたのでそこは良かったのかなと思います」

先日の2軍戦。初回、1番三森の打球はいきなり遊撃小幡のところへ飛んだ。落ち着いて、今度はミスせずアウトにした。

プロでの聖地は2打席に立った。高校時代と比べ「高校の時はウキウキ感しかなかった。(プロは)そこの違いというか、しっかり打たないといけない」。第1打席は1死二、三塁の好機で右飛に倒れた。「チャンスで回ってきたので打たなきゃいけないという方が強かったですけど、超満員の中でやりたいなというのは感じました」。この日はバックネット裏に2901人のファンが詰めかけた。普段ホームで使う鳴尾浜をはるかにしのぐ観客数に驚き、さらなる「超満員」の舞台にも心を躍らせた。

打席に入れば鳴尾浜では流れない登場曲「Girls」(西野カナ)が流れ「気分は上がりますね」と笑顔を見せた。守備では風の影響を考慮して、高代2軍チーフコーチから「(飛球は)必要以上に追うように」と、甲子園ならではのアドバイスも受けた。

試合後には、ベンチ裏の通路を行ったり来たり。「全然慣れないです。(移動も)遠いですもん」と、初々しく苦笑いだった。

「すごいお客さんの声が球場内に響いていた。あれを超満員だと感じると、ものすごく鳥肌立つんだろうなと」

2軍戦ながら、プロとして初めて立った聖地に思いをはせ、1軍の「超満員」の舞台に上がって「早くここでやりたいですね」。その瞳は希望に満ちあふれていた。【阪神担当=奥田隼人】