言葉を選び、堂々と話せる。オリックス山岡泰輔投手(24)が、そうである。「自分の言葉」で表現できる選手だ。

投手陣を引っ張る若きリーダーは、侍ジャパンにも選出され、プレミア12では「世界一」も味わった。

「一番は喜びを感じたのはシャンパンファイト。それをオリックスのみんなとやりたいという気持ちが強くなった」

来季に目指すは96年以来のリーグ優勝。勝つために必要なものは-。常々それを考える山岡は大会期間中、他球団の侍メンバーに率直な意見を求めた。「プレミア12で他の球団の選手にオリックスの印象を聞いてみたんです」。その回答は…。

「オリックスは元気がないと言う人の方が多かった。そう見えているのはチーム的にもよくない。ベテラン、若手は関係なく試合をしていけたらいい」

野球に限らず、スポーツには「ゲームの流れ」が存在する。それを引き寄せる雰囲気作りが、オリックスには必要だということだ。「勝っているときは野手も投手も元気だと思う。連敗が続いたとき、負けが込んでいるときに、その空気を消せるように。勝ってるんじゃないかと思わせられるような雰囲気にしたい」。

とある「提言」もした。1日に大阪・舞洲で行われた契約更改交渉の場で、それを明かした。「ウリさん(瓜野ブルペン捕手)のこととかですね。休みの日まで練習に出てきてもらって、本来は自分のすることではない部分でも手伝ってもらった。そこの評価を上げてもらえないかと球団には言いました」。13勝4敗で貯金「9」と躍動した。最高勝率のタイトルを獲得した若き右腕は、裏方からのサポートに感謝を忘れない。

見据える20年シーズン。今季最優秀防御率を獲得した山本を筆頭に開幕投手を争うライバルたちがいる。その座を「譲るつもりはない。来年もやるつもりでいます。今年、勝てなかったんで。自分が投げて勝ちたいなと思います」と言い切る。自分でチームを引っ張る気でいる。

特別な1年にもなる。「ずっとオリンピックに出たいと思ってきた。今回の大会(プレミア12)はすごく悔しい。オリンピックがそれを晴らす舞台になるように。開幕から投げられるように準備していきたい」。国際大会で感じたのは、救援待機の難しさとボールの軽さ。この1年で、さらにレベルアップしてみせる。「小さいころから(テレビで)見ていて、日本代表に憧れを持っていた。それ(オリンピック)が日本である。人生で最初で最後。オリンピックでの優勝は、やっぱり違うと思う。出てみたい気持ちはある」。ペナント争いにプラスアルファされたモチベーションにあふれる。

画面越しだった世界が、現実になろうとしている。「日本中から応援されて、日本が1つになっていると当時も思った。かっこいいな…って。純粋に」。

恥じらいはない。人前ではっきり話すほど、「自分の言葉」は意味を持つ。【オリックス担当=真柴健】

1日、1億円の大台に乗せ笑顔でポーズを作るオリックス山岡
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