ただ打つだけが、仕事ではない。今季限りの引退を決めたロッテの鳥谷敬内野手(40)が文字通りの「眼力」で勝ち取ってきた1055個の四球は、歴戦の強打者の中も極めて特殊な輝きを放っている。

NPBでの通算1000四球達成者はわずか16人で、2000安打54人の3分の1にも満たない。

(1)王貞治(巨人)2390

(2)落合博満(日本ハム)1475

(3)金本知憲(阪神)1368

(4)清原和博(オリックス)1346

(5)張本勲(ロッテ)1274

(6)門田博光(ダイエー)1273

(7)野村克也(西武)1252

(8)福本豊(阪急)1234

(9)山本浩二(広島)1168

(10)谷繁元信(中日)1133

(11)立浪和義(中日)1086

(12)榎本喜八(西鉄)1062

(13)山内一弘(広島)1061

(14)鳥谷敬(ロッテ)1055

(15)中村紀洋(DeNA)1030

(16)福留孝介(中日)1005

※所属は現役最終

往年のスラッガーが名を連ねる。鳥谷の通算長打率は3割9分3厘で、これは1000四球をクリアした16人の中で谷繁元信3割6分8厘に次いで低い数字だ。ところが1本塁打あたりの四球獲得ペースは、138本塁打の鳥谷が7・6個と断トツ。2位の立浪和義6・4個(171本塁打、1086四球)に、1四球以上の大差をつけている。ホームランに比べ、四球がとても多い事実が分かる。

敬遠が極端に少ないのも鳥谷の特徴だ。通算わずか25個。全四球に占める割合はわずか2・4%で、16選手中最少だ。阪神では長らく3番を打つことが多く、金本や福留、外国人選手ら強打者が後ろに控えていた。このため勝負を避けられることが少なかった。相手投手が絶対に塁に出したくない場面で打席に立ち続け、自力でボールを見極めてきたことが浮かび上がる。2番目に比率が低いのが、通算1065盗塁を走った福本豊の3・3%(1234四球、41敬遠)。現役時代はほとんどで1番打者として出場した、福本すら下回ったのは特筆に値する。

着実に塁に出続けてきた意味は計り知れない。1055個の四球をもぎとった「眼力」が、18年間の活躍を支えてきた。打力に勝るとも劣らない、鳥谷のもうひとつの武器だった。【記録担当 高野勲】