チーム最年長右腕の背中を見せていた。藤川監督も視察していた9月24日の2軍広島戦(SGL)。先発した阪神西勇輝投手(34)は立ち上がりから不運に見舞われていた。初回から味方の落球などが重なり2失点。4回1死には、打ち取った遊ゴロを高卒2年目の遊撃山田が後逸した。申し訳なさそうに外野からの返球を受ける山田。西勇は自ら歩み寄り、声をかけに向かっていた。

「『もっと攻めていいよ』と。しょんぼりするなら思い切って楽しんでいった方がいいと思うし」

今季でプロ17年目を迎える右腕。高卒2年目の山田は、年齢にすると14歳年下の後輩になる。自身も高卒でプロの門をたたき、失敗を繰り返してきたからこそ気持ちが分かる。「俺も何回も失敗してきた。行ったらあかんタイミングで変化球行ったり、真っすぐ行ったり。みんなそういう経験をしてうまくなったと思うし。へこむことじゃないと思う。ここでまた練習してうまくなればいい」。

今季は4月12日の中日戦(甲子園)で初先発するも、5回途中3失点で敗戦。その後は「右膝の内側側副靱帯(じんたい)損傷」で約2カ月実戦から離れるなど、1軍登板からは遠ざかっている。過去のキャリアでも類を見ない苦しいシーズンとなっている中、若手選手や後輩たちから見られる立場であることを決して忘れていない。

「立ち振る舞いなら、やっぱり萎縮するよりは堂々と(プレー)できるように。先輩がやりやすい環境を作るだけじゃないかな。そんな萎縮する先輩、嫌やろ?」

1軍登板でも2軍登板でも、先輩としてあるべき姿は変わらない。プレー再開までの数秒間に、年長者としての振る舞いがにじんでいた。【阪神担当=波部俊之介】

野手に声をかける阪神西勇輝(2025年7月31日撮影)
野手に声をかける阪神西勇輝(2025年7月31日撮影)