熱投野球論

明石商・中森がNO・1 監督の采配も◎/西本聖

夏の甲子園大会は準々決勝が終了。準決勝、決勝を残すだけとなった。野球評論家の西本聖氏にここまで印象に残った投手などを聞いた。

明石商・中森
明石商・中森

-ズバリ、印象に残った投手は

西本氏 左腕では近江(滋賀)の林優樹くん(3年)。右腕では星稜(石川)奥川恭伸くん、津田学園(三重)前佑囲斗くん(3年)、明石商(兵庫)中森俊介くん(2年)の計4人。

-まずは林投手から。初戦で東海大相模に敗れたがキレの良い直球、カーブ、チェンジアップを投げ込んだ

西本氏 高校生でも150キロを投げるのが当たり前の時代になってきた中で、投手というのはいかに打者を抑えるかということを考えると、ストライクが入らないと勝負にならない。林くんは直球のスピードは130キロ程度だけどストライクが入るから勝負ができる。プロでは長いイニングは難しいかもしれないが、左殺しのワンポイントや短いイニングなら面白いのかなと。特に左打者に対しての変化球、カーブをしっかりと投げられてコントロールできる。プロでも活躍できるチャンスは十分にあると感じた。

近江・林
近江・林

-3回戦で14回を投げ23三振を奪った奥川投手はどうだったか。初戦の旭川大高戦を見た時は春と比べてあまり変化が見られなかったと評価していたが

西本氏 智弁和歌山戦では重心が、春や夏の初戦より低くなっていると感じた。あいかわらず左膝は突っ張るが右膝に余裕があるので上半身が起きてしまわない。良い形で下半身を使えていたと思う。スライダーも良かった。

智弁和歌山対星稜 力投する星稜先発の奥川(撮影・狩俣裕三)
智弁和歌山対星稜 力投する星稜先発の奥川(撮影・狩俣裕三)

-津田学園の前投手は初戦を見て「将来化ける可能性がある」と評価した

西本氏 下半身の使い方が非常に良い。下を使って投げられるからこれからが本当に楽しみ。

津田学園・前佑囲斗(2019年8月13日)
津田学園・前佑囲斗(2019年8月13日)

-最後に明石商の中森投手。準々決勝ではリリーフ登板だったが最速151キロをマークした。まだ2年生

西本氏 今大会に出た投手を全部見たわけではないが、名前を挙げた4人の中では一番良いと感じた。テークバックがコンパクトで前が大きい。腕がしっかり振れるしバランスが良い。体幹の強さも感じる。

-奥川投手と比べてどうか

西本氏 奥川くんももちろん良いが中森くんの方が体全体のキレがあると感じた。奥川くんはどちらかといえば上半身の強さを感じるが中森くんは体全体の強さ、キレが素晴らしい。下半身の力をうまく上半身に伝えているなと。体がぶれないから狙ったところに投げることができる。

-今年の甲子園を見て感じたことは。まずは投手全般に関して

西本氏 コントロールの良い投手が少なかったなあと感じる。150キロのスピードを追い求めることは悪いことではないが、ストライクを取ることをもっと求めて欲しいなと。120キロ台のボールでもコントロールさえあれば抑えられる。四球が減れば守備のリズムも良くなり失策も減る。それといろんなボールを投げる投手が増えた。チェンジアップやフォークボールなど器用になったなあと。これは良いことだが忘れて欲しくないのがやはりコントロール。制球力があれば連打されることがない。必ず結果が出せる。ほとんどが四球を出してはストライク欲しさにボールを置きにいって打たれるというパターン。野球は投手を含めた守りが7~8割。選手も指導者もコントロールの大事さをもっと考えて欲しい。

-投手の起用については

西本氏 変わってきていると思う。2番手、3番手を先発で使ってエースを温存しながら戦うチームが増えてきている。エースに無理をさせないで戦っていく。時代とともに野球が変わってきていると感じる。

-投手以外では

西本氏 内野手の守備位置が深い。だからかもしれないがスローイングエラーが多い。ミスで負けるケースも多い。選手にも悔いが残るしチームにも迷惑がかかる。すごく残念。それとボールが良く飛ぶ。

-監督の采配について

西本氏 明石商の、元気の良いおっちゃん、狭間監督。スクイズ、エンドラン、代走を使って三盗を決めたりと勝負師だと感じる。プロの監督でさえ、ここぞという場面で勝負を避ける監督もいるが、一発勝負の高校野球ではなかなかできないこと。選手との信頼関係があってできることだと思うし、選手の能力をしっかり把握しているからこそできる采配。何かを仕掛けないと何も起こらない。ありえないことをやることで何かが起こる。動けば失敗もあるが成功もある。それを勇気を持ってやる。見習うところがあるのかなと思う。

明石商対八戸学院光星 8回裏八戸学院光星2死一.三塁、一塁走者の大江を盗塁死にしてピンチを脱し、ガッツポーズで中森(手前)らを出迎える狭間監督(撮影・白石智彦)
明石商対八戸学院光星 8回裏八戸学院光星2死一.三塁、一塁走者の大江を盗塁死にしてピンチを脱し、ガッツポーズで中森(手前)らを出迎える狭間監督(撮影・白石智彦)

 ◆西本聖(にしもと・たかし)1956年(昭31)6月27日生まれ、愛媛県出身。松山商から74年ドラフト外で巨人入り。2年目に1軍入りを果たすと77年に8勝を挙げ、80年からは6年連続で2桁勝利をマークするなど巨人の主力投手として活躍した。81年に沢村賞。中日に移籍した89年には20勝を挙げ最多勝。その後オリックスでもプレー。最後は94年、巨人で現役引退した。通算504試合に登板し165勝128敗17セーブ、防御率3・20。引退後は阪神、ロッテ、オリックス、韓国ハンファで投手コーチを務めた。16年から日刊スポーツ評論家に復帰。

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