日刊スポーツのサイトでこんな記事を発見して「おっ」と思った。先日、ある球団の幹部と話したことを思い出したからだ。こういう記事である。

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米大リーグの全30球団がアリゾナ州フェニックス近郊に集まり、無観客で公式戦を開催することで大リーグ機構と選手会が協議していると6日、AP通信が報じた。

大リーグは新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕の見通しが立っていない。ダイヤモンドバックスが本拠地を置く同州は半分の15球団のキャンプ地で、球場が近いことも利点という。一方で協議は初期段階で、クリアすべき課題は多いとした。

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球団幹部と話したのは3月半ばのころだ。「開幕も延期になったし、いっそのこと沖縄にみんな集まって活動すればいいのでは」。そんな内容の雑談をした。3月20日だった開幕の延期が決まり、練習試合などをどうしていくという時期の話だ。

バラバラに練習試合をやるのなら12球団が沖縄に結集して、もう1度、キャンプを張りながら試合も行う。無観客、あるいは限定的に観客を入れて野球ムードを盛り上げていけばいいのでは。そう話した。もちろん“空想”である。

多くの球団が春季キャンプを張った沖縄の2月は、なぜかウイルスの問題は本土ほど深刻化していなかった。その期間が懐かしいような気がして、そんなことを言ったのかもしれない。

「どうでしょう。まず各球団の足並みがそろうかどうかが難しいですね。そもそも、そうすることに意味があるのかどうかも考えないと」。幹部はそういう反応だった。

絵空事のレベルの話なのでそう言われるのも当然だ。それでも同じような議題が大リーグで話し合われているのか、と思えば、不思議な気がしている。

12球団が結集し、沖縄で試合をするという発想を持つのは、いまは亡き「闘将」星野仙一氏の影響だ。

「沖縄は日本のフロリダやぞ」

これは星野氏の決まり文句だった。今回、大リーグで議題に上っているのはフロリダではなくもう1つの代表的キャンプ地のアリゾナだが、いずれも日本で言えば沖縄だろう。

多くの球団がキャンプを張ることを始め、いかにプロ野球が沖縄の土地、人々に世話になっているか、ということについて星野氏はいつも熱弁をふるった。

もちろん、ウイルス問題がここまでの事態になった今、開幕がいつになるにしても沖縄に移動して、試合をするというのはあまりにも現実離れしている。

そもそも東京、大阪から大量に人が移動していいのか、という問題がある。

しかし世界中を覆うコロナの暗闇が晴れ、無事に開幕できたとしても、その時期が大幅に遅れ、晩秋まで試合をすることになれば…。クライマックスシリーズで6球団が沖縄に集まり、そこで一気に勝負をつければ。あるいは日本シリーズも…。そんなビッグゲームを暖かい沖縄で開催できれば。元気の出ない話題ばかりの球界で、そんな空想をしてしまう。