平成から令和に代わった19年も終わりが見えてきました。米国では10年単位を「ディケイド」として1つの区切りにします。そこで我らが愛する阪神についてもこのディケイド年に限ってよく言われる“風説”について専門家の意見を交えて、考えてみます。題して「この10年、阪神やっぱりこうやった!?」。1回目は「阪神は助っ人野手取りがヘタ~?」です。

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阪神は新たな助っ人としてボアを獲得した。さあ、当たりか外れか。虎党の間では早くも期待と不安の会話がはずんでいる。終盤の連勝で3位に滑り込んだ19年。多くの虎党の共通する思いは「もっと打てる外国人選手がおったらな…」ということではないか。マルテも主砲級の働きはできず、2年目ナバーロも戦力になれなかった。昨季のロサリオから流れはよくない。

阪神に限らず外国人選手、いわゆる助っ人はプロ野球全体の課題だ。特に毎試合に出場できる野手が働くかどうかはペナントを争う上で大きな要素になる。

過去、来日した助っ人は投手野手合わせて2100人を超え、すでにレジェンドとなった選手もいる。この10年間に活躍した選手でもバレンティン、ラミレスと名前が挙がる。

「助っ人の成功を規定するのはいろいろな条件があるのでなかなか難しい。それでも打者で言えば、やはり3年ぐらいは在籍した上で規定打席に達し、打率2割8分、20本塁打、70打点はマークしてほしいところでしょうね」

そう話すのは近大でスポーツマネジメントの研究を続ける黒田次郎准教授だ。広島カープで通訳などを経験した人物。その黒田氏が挙げた数字に沿ってこの10年、セ・リーグの助っ人を見てみる。

目立つのはやはりヤクルト・バレンティン、巨人、DeNAと2球団で活躍するロペスといったところだ。そして問題の阪神だが意外にも? いい位置につけている。

マートン(在籍6年)が規定打席に6度も達し、首位打者を獲得。ゴメス(同3年)も打点王を取っている。さらにブラゼル(同4年。他に西武、ロッテ)も頑張っていた。

この10年間で阪神がもっとも優勝に近かったのは10年、真弓監督時代だ。優勝した中日に1ゲーム差の2位でフィニッシュした。いわゆる「飛ぶボール」の問題もあったが、この年は実に173本塁打をマークし、打率も2割9分を残している。金本、新井、城島もいた上にマートン、ブラゼルの2人がいた。

過去の失敗はともかく、この10年に限れば阪神の助っ人獲得戦略は意外にも? 「悪くない」という結論になる。新加入のボアがマートン、ブラゼル、ゴメスに並ぶ、あるいは超える力を発揮できるかどうか。主軸を任せられる助っ人がいれば周囲の若手打者にもいい影響を与える。2年目の戦いに挑む矢野阪神に大きくかかわってくる問題だ。【編集委員・高原寿夫】