コップに大事な水が半分入っている。「まだ半分ある」と楽しむか。「もう半分しかない」と焦るか。よく言われる考え方の話だ。

DeNA相手に今季初の同一カード3連敗を喫した首位・阪神。7連勝した2位巨人に2・5ゲーム差まで詰め寄られた。一時は8ゲーム差あったのに…と追い込まれるか。直接対決で3連敗しなければ抜かれない数字ととらえるか。

そう余裕を出したいが、まあ、誰が見ても状況はよくない。結果論で申し訳ないがカード初戦、25日の10回戦で1回に西勇輝がもっとも警戒すべきオースティンに1発を浴びたところで、よくない流れができてしまったと感じる。

もちろん湿った打線が3連敗の大きな要因には違いない。だが自軍が打てないときこそ先発投手はしっかりしなければならない。エースと呼ばれるのであれば余計だ。もちろん打たれるときは打たれる。それでも局面というか、場面を意識してほしいと思う。先発投手に限った話ではないが。

この日も「う~ん」と思う場面があった。6点を追う8回、1死一、三塁で代打はベテラン糸井嘉男。ここで登板したDeNA4番手の砂田毅樹はボールが先行、カウント3-0となった。ここは満塁でジリジリ攻めれば面白くなるかも…と思った瞬間、糸井は4球目を打ち上げた。大きな当たりだったが犠飛止まり。

「ここは走者をためたい場面ですからね。ベンチは待ってほしいところだったかも」。ABCテレビで解説していた前監督・金本知憲もそう言った。それはそうだろう。仮に3ランが出ても届かない。しつこく走者をためて攻撃を続ける方が相手はこたえたはず。

「前監督」という立場は、遠慮があるのか、現在の戦いをあまりどうこう言わないものだが、ここは思わず出てしまった、という印象だった。奔放な糸井とはいえ、やはり考える場面だったろうし、ベンチも徹底するべきだったと思う。

指揮官・矢野燿大は細かいことを言わず、選手をもり立てていくスタイルだ。いわゆる現代風だし、伸び伸びプレーできているときはうまく働く。それでもポイントでは、やはり明確な意思を出した方がいいと思う。指示を出して、できていないのかもしれないが。

いずれにせよ巨人が迫ってくるのは予想できたこと。焦っても仕方がない。落ち着くには、まず、連敗を止めることだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)