「元気がない」と言うよりは、やはり「硬い」。ダメ押しされた8回。力投する小川一平のままでもよかったのではという気はするが、それは結果論だろう。指揮官・矢野燿大にすればできる限りの手を打ったということだ。

やはり勝敗の行方を決めたのは6、7回の攻撃だろう。それぞれ満塁の好機を生かせなかった。一打同点、あるいは逆転というところで「あと1本」が出なかったのだ。それが終盤、一方的な負けの展開につながってしまったと思う。

もう少し…と思うところでつながらない。それが「硬さ」だろう。はっきり言って今季は失うもののない広島は若手を含め、伸び伸びしているではないか。重圧のない状況を受け、敵地・甲子園で暴れていた。これで広島との戦績は10勝10敗のタイだ。

「ピンチはチャンスや。自分をアピールできるからな。逆にチャンスはピンチやぞ。結果が出なかったら目立つ。でも阪神の選手はピンチもチャンスもピンチなんや」。知将・野村克也は就任1年目の99年、ここぞの場面で活躍できない選手をボヤき、そんな意味の話をしたものだ。

ヤクルトとの相性を考えても阪神のチャンスは大きい。だが優勝を知るメンバーは不在。「知らないから硬くならないのでは…」などという楽観的な見方はあり得ない。プロなら優勝を誰でも願うし、それが近づけば硬くなる。

どう乗り切るか。佐藤輝明の復活など劇的なことが起こればキッカケになるかもしれない。しかしそうそうドラマは起こらない。まず、やれることをやることしかない。投げるべき人が投げて、打つべき人が打つ。そこからしか流れは作れないと思う。

そこで30日先発の西勇輝に注目する。今季はここまでパッとしないシーズンだろう。結果もそうだが独断と偏見で言わせてもらえば「一丸野球」を掲げるチームの中にいまひとつ溶け込んでいる感じがしない。

選手としてはピンチかもしれない。しかし、そこで「ピンチはチャンス」だ。スイープされることだけは絶対に避けたい30日の先発だ。先に失点せず、好投すれば流れを変えることができるかもしれない。「エースが土壇場で踏ん張った」という見方に変わるのだ。チームのために。自分のために。大山悠輔ではないけれど、それこそ死ぬ気で投げるときだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

広島に敗れた矢野燿大監督(左から2人目)は整列のあいさつで頭をさげる(撮影・上田博志)
広島に敗れた矢野燿大監督(左から2人目)は整列のあいさつで頭をさげる(撮影・上田博志)