虎番キャップたち、およびこちらも指揮官・岡田彰布にしかられた。「何や。お通夜みたいに。1つ負けただけやんか。ええ試合してるのに。シーズン終わったわけちゃうねんで」-。苦笑を浮かべながら岡田はそう話し、エレベーターに乗ったのである。

それは間違いない。岡田もいつも言うことだし、ここでも書くけれど、全部は勝てない。当たり前のことだ。だがこのDeNA3連戦の持つ意味は大きい。それが分かるだけに、この接戦を落とした痛みを強く感じる。そんな沈痛な表情の面々による囲み取材を岡田はボヤいたのである。

阪神の流れは悪くなかった。今季いまひとつ波に乗れない先発・村上頌樹が1回、牧秀悟に被弾し、追いかける展開に。だがその裏、すぐ大山悠輔の適時打で追いつく。これはいける。4万2501人のほとんどを占める虎党は期待の大声援を送った。

しかし3回無死一塁でジャクソンのバントを処理した大山の守備の乱れ(記録は犠打野選)でピンチを広げ、2点を勝ち越される。イヤなムードだ。だが6回、森下翔太の15号ソロで反撃すると、坂本誠志郎のセーフティースクイズで再び同点に。前日同様、大技小技の仕掛けでDeNAを攻めたのである。

だが、そこまで。反対に8回を任されたゲラが桑原将志に決勝弾を浴びてしまった。振り返れば7回の無死一塁で1番・近本光司がまさかの遊ゴロ併殺打と、勝負の女神は気まぐれさを発揮したのである。

敗戦のショックが増したように感じるのがマツダスタジアムの結果だ。2位・広島の2点リードで9回に登板したクローザー・栗林良吏がまさかの乱調で逆転負け。これで首位・巨人が広島に3ゲーム差をつけ、阪神は巨人に3・5ゲーム差となったのである。

この結果を受ければ混戦から少し巨人が抜け出した感はある。勝負に「たられば」はないけれど、もしもここで阪神が勝てていれば広島を抜き、巨人に2・5ゲーム差の2位に浮上していたところ。それを考えれば、やはり痛い敗戦だ。

それでも、ここまで来ればやるしかない。次に目を向け、戦うしかないのだ。幸い、森下の好調さもあるし、佐藤輝明に粘りも見える。「勝っていかなあかんねんから」。普段以上に勝負師の顔になっている岡田も言うように次の試合に注力するしかない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 6回裏阪神無死一、三塁、ベンチでサインを出す阪神岡田監督(撮影・藤尾明華)
阪神対DeNA 6回裏阪神無死一、三塁、ベンチでサインを出す阪神岡田監督(撮影・藤尾明華)