テルよ、打て! ここで言いたいのはそれしかない。DeNAとのCS初戦、阪神は完敗を喫した。4万2642人の観衆を飲み込んだ甲子園は1回から最高潮のボルテージだったが終わってみれば1-3。9回に木浪聖也の適時打で1点こそ返したもののハッキリ言って見どころはほとんどない試合だったと思う。
「1年間を象徴してるようなゲームやったよな。結局な。何にもできないもんな。1年間の象徴、今年を象徴したゲームみたいなもんや。ハッキリ言うて」
7日以来、5日ぶりに虎番キャップたちに口を開いた指揮官・岡田彰布もボヤくしかない。今季限りでの退任が決まっており、このポストシーズンの戦いを集大成として臨んだが、まずは悔しい敗戦。そして追い込まれる結果になった。
思うのは、岡田の言う「1年間の象徴」にこの日の佐藤輝の打席も含まれるかもしれない、ということだ。2回先頭できわどい外角球を見逃して三振に倒れると、やはり先頭の7回には空振り三振。さらに無死一塁で迎えた9回も空振り三振と、4打数無安打3三振で打線に火を付けることができなかった。
その佐藤輝について指摘していた男がいる。前監督・矢野燿大だ。矢野はNHKの中継で解説。佐藤輝について「プロなんだから技術を見せないと」という趣旨の話をしていた。監督時代、選手の背中を押すスタイルだった矢野にすれば厳しいなと、正直、思った。矢野とは試合後、少しだけ話をしたが“大人の事情”で詳しくは書けない。それでも佐藤輝に対する熱い気持ちは伝わってきた。
矢野の言う「技術」とはおそらく長打を狙うとき、つなぐときをハッキリさせていけ、ということだと思うけれど、前監督にしろ、虎党にしろ、佐藤輝に注目してしまうのは、その存在感があるからだ。
佐藤輝が打てばチームが盛り上がり、三振すれば球場全体が「あ~」というムードになる。言うまでもなくそれがスター選手の証明であり、宿命だろう。まだ若い佐藤輝にはプレッシャーと思うが、そういう風に見てもらえない選手が多い中で、これは“栄誉”と思うしかない。
「明日、打てるように頑張ります」。試合後、佐藤輝はそう話した。この結果で取材されるのもスターのつらさだ。だからこそピシッと打って雰囲気を盛り上げてほしいのである。(敬称略)
【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




