間違いなく熱戦だった。T先制→D逆転→T同点→D勝ち越し→T同点→T勝ち越し…と得点機がめまぐるしく入れ替わる。シーズンも、それも序盤の1試合とはいえ、まるで日本シリーズの第7戦のよう…と言えば言い過ぎかもしれないが両軍の必死さは伝わってきたのである。
「ナイスゲームでした」。指揮官・藤川球児もそう振り返った試合だ。開幕から連敗している相手に「なんとか一矢を」と向かってくる中日ナインの気持ちを強く感じた。特に福永裕基のアクシデントがあっただけに「何としても」という気配はあったと思う。
それでも、それを退け、阪神は勝った。野球は偶然の占める割合も多いスポーツだ。例えば長時間2人だけで戦うテニスのシングルマッチのように「強い方が勝つ」とほぼ決まっているワケではないのだが、やはり強い方が勝つというゲームになった。
好データもさまざまある。まず阪神はデーゲームに強い。これで今季は7試合で6勝1敗となった。ナイターが12試合で7勝5敗なので貯金7のうち、大部分を昼に稼いでいる計算になる。たまたまなのか明確な理由があるのか、そこはハッキリしないのだが、とにかくきょう19日の甲子園もデーゲームだ。
さらに言えば先制すれば負けない“神話”も続いている。この日で先制した試合は開幕から9戦全勝となった。特に序盤に大量点を挙げているということではないのだが、そういう傾向にあるのは、やはり投手力のいいチームということだろうか。先に得点すれば相手は焦るという面もあるのかもしれない。
今の阪神について、おかしな言い方だが「いい傾向だな」と思うのは全員が絶好調でもない点である。現在は森下翔太が手がつけられない状況。それでもこの若武者が下降気味になったときに他の選手がカバーできれば全体として落ちていくこともないはずだ。
「チームの形はしっかりとキープしながら攻撃のチャンスを待つ。それから仕掛けていくということができたかなと思いますね」。指揮官がそう説明できる状態に、今のチームはあるということだろう。
大事なのは故障者を出さないことだ。目の前で福永のことがあっただけに余計そう思う。中日が苦しんでいるのはその面もある。全力プレーかつ慎重に。じっくり進めていきたい日々だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




