最後の打者を打ち取り、喜び合った岩崎優、梅野隆太郎のバッテリーはともに今年6月、35歳になる。一般社会では働き盛り、これからという年齢だがこの世界ではベテランだ。巨人戦3連勝を決め、首位に返り咲いたゲームでそんな2人が最後を締めたのを「いいな」と思った。
才木浩人を懸命にリードしていた梅野が5回に3年ぶりの本塁打を放つ。この東京ドームでは連日、黄金ルーキー立石正広に焦点が集まっていた。そんなときに、同じ未(ひつじ)年、つまり立石より、ひと周り年長の梅野が試合を動かしたのである。
その直後。才木が中前打でつなぐと立石にプロ1号2ランが出た。やはり日の出の勢いの若者に主役を奪われたか、と思ったがヒーローインタビューにも呼ばれたし、梅野にとってはいい日になっただろう。
彼と少しだけ話したのは先週、神宮でのヤクルト戦か。前カード、10日DeNA戦(甲子園)で今季初のマルチ安打をマーク。しかし会心の当たりではなかった。旧知の仲でもあり、話の合間に「当たりはスカッとせんかったけど?」などと声をかけたのである。
それまで笑顔だった梅野は真剣な表情になった。「それは関係ないんですよ。もう結果ですから。結果が出ればいい。どんなヒットでも、それが次につながっていくんです」。自分に言い聞かせるように、そんな話をした。その後、17日広島戦(甲子園)でも出場2試合連続のマルチ安打を記録。さらにこの1発で打棒復活のきっかけをつかんだのなら何よりである。
阪神は、いま、熱い。象徴するのはやはり立石の存在だろう。結果もそうだが本当に新人かと思われる落ち着きぶり。不動と思われたクリーンアップの一角すら崩すかもしれない。そんなことまで思わせる気配だ。穏やかで平和主義…が特徴の未(ひつじ)年生まれらしいが、そこは勝負の世界。ベテランから若手まで出番を求め、熱い競争が各ポジションで続く。
この日の守備位置変更は外野に不慣れな立石の負担を減らすためだろう。前日には“お見合い”もあった。交流戦はDH制の試合もあり、違うパターンを見せるはず。そもそも来季からセ・リーグもDHだ。いずれにせよルーキーの活躍でチームに刺激が走った。貯金11は昨季の同時期を上回る成績。そして昨年同様、首位での交流戦突入である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




