勝負の世界は非情だ。その意味でここは「今季最多貯金」をマークするチャンスである。この日の勝利で阪神は2桁貯金「10」に復帰した。ここまで今季最多は交流戦直前の「11」だ。このマツダスタジアムで一気に3連勝を決めれば今季最多の貯金「12」で甲子園に戻ることができる。
前日、ここで「才木浩人がどれだけ長く投げるかがポイント」と書いた。こちらが考えるぐらいだから、当然、当事者たちは理解している。そして才木は8回、実に130球を投げた。蒸し暑いマツダスタジアムですさまじいことである。
「大きいですね。きょうはドリスを(メンバーに)入れていませんでしたからね。非常に大きな投球だった」。指揮官・藤川球児が最大限の賛辞を送ったのも分かる。やはりエース級の投手だ、と感じた。
この日は試合前から何とも言えない気分になっていた。例の問題に絡んでカープの選手が登録抹消になったからだ。「野球どころじゃないかも」。今年、甲子園に来たとき、あるカープ関係者がそう言っていた。
問題に関係のある者も、ない者も複雑な気持ちだろう。他の関係者は「いろいろな話を耳に入れないようにしています」と話していた。プロはグラウンド以外で言い訳できない…とは思うが落ち着かない状態なのは分かる。
四半世紀前、カープを担当した。魅力ある選手が多く、明るく元気があり、何より、関係者がチームを愛している様子が伝わり、大いに好感を持ったものだ。当時、選手会長だった緒方孝市(現・日刊スポーツ評論家)がのちに監督になり、3連覇を達成したことにも感動した。それだけに今回の騒動は残念だ。
そう思って見るからそうなのかもしれないが、この試合は得点差以上の開きがあったと見る。カープで気合が入っていたのが、3連覇時代の生き残りである菊池涼介というのが、いかにもベテランの意地という感じではあった。
そうは言っても勝負である。相手が弱っているときにたたくのは重要だ。カープ相手に今季は苦戦している。これで7勝5敗1分けとやっと二つの勝ち越しだ。ここは一気に今季最多貯金をマークしたいところなのだ。7日に高橋遥人を打って調子を上げてきた坂本勇人がこの日はサヨナラ本塁打…と乗ってきた感のある巨人と来週末、甲子園で直接対決だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




