子供たちの夢と希望を放物線に乗せた。早実(東京)の清宮幸太郎内野手(3年)が、史上2人目とされる高校通算100号を達成した。愛知県で行われた招待試合の享栄戦に「3番一塁」で出場。子供たちから「あと1本」コールが響く中、最終打席の9回1死、右中間への135メートル場外弾で高校野球史に名を刻んだ。次なる期待は108本の新記録。清宮がまた新たな伝説を作る。
スタンドの子供たちから「あ~と1本、あ~と1本」のコールが聞こえた。最終打席の9回1死、初球の直球だった。清宮が振り抜いた打球は大歓声を受け、清宮らしい強烈な放物線を描いた。高校通算100号は規格外の記録を彩るように、今季8本目の場外となる135メートル弾で決めた。
清宮 そんなに打った感じはないんですけど。すごいことというか、あまり実感はないです。
意識しなくても、「100」を意識する異様な雰囲気だった。王手で迎えた1試合目の至学館戦では、友情応援を行った至学館の部員がDeNA筒香の応援歌の「GO、GO、筒香」の歌詞を「GO、GO、100号」に替え歌。「振りは悪くなかった」と振り返ったが、たった8打席でも感じたノーアーチの重圧を一振りではね返し、駆けつけたラグビー・ヤマハ発動機監督で父克幸さん(49)にメモリアル号を届けた。
高校入学時は、100号を想像することもできなかった。「絶対に無理だと思った」。それでも、課題を見極め、ウエートトレ、体幹トレで強化するとともに、日々の練習から進化を求めた。印象に残る本塁打を「いっぱいあります。甲子園で打ったやつとか、今日のやつとか」とこの1本は明言を避けた。進化の途中で、まだ上の放物線を追い求める。
「子供たちの夢の対象に」-。2月末に表敬訪問した国分寺市の井沢邦夫市長から、子供たちの「夢の伝道師」を託された。甲子園でのプレーに憧れ、技術を磨いた清宮にとって、宿命のような言葉だった。「自分のプレーに憧れを抱いてくれるプレーをする」。本塁打を狙ってはいなくても、本能でアーチを打った。
次なる節目は、神港学園・山本大貴が記録した107本超えになる。前人未到の記録にも「そんなに意識はないです」と不動心は変わらなかった。何本、打ちたいか。清宮は短く答えた。「打てるだけ、打ちたいです」。100年を超える高校野球の歴史の中でも、希代のスラッガーが新たな歴史を刻む。【久保賢吾】

