明徳義塾(高知)が日大山形との延長12回の熱戦を制し、名将が節目に王手をかけた。今春センバツ1回戦で勝利目前のところから逆転負けを喫した教訓を胸に、馬淵史郎監督(61)が甲子園通算49勝目を挙げた。
センバツの悪夢を振り払った。3点を勝ち越した直後の延長12回裏。6回から登板していた市川は3球で2アウトを取ったが、そこから四球と中前打で2死一、二塁。あと1アウト…。馬淵監督が動いた。先発の北本を伝令に送った。「27個目(試合の最後)のアウトを取って初めて野球は成立するんや」。その言葉を受け、ギアを入れ直した市川は最後の打者を遊飛に打ち取り、ほっとした表情で整列に加わった。
今春、あと1死が奪えなかった。早実との初戦。9回2死までリードしながら追いつかれ、延長10回の末に敗れた。山口海斗主将(3年)は寮のホワイトボードに、敗れた日の新聞を貼った。立ち止まる選手もいれば「くそー!」と叫ぶ選手もいた。馬淵監督は「センバツは27個目のアウトを取るのが大変だった」と振り返る。だからこそ、この日の12回の伝令役は、いつもの山口主将ではなく、春の敗戦時にマウンドにいた北本に託した。
「甲子園の1勝は簡単に出来ないと、よう分かりました」というが、13年夏に準々決勝で敗れた日大山形に雪辱を果たし、甲子園春夏通算50勝まであと1勝だ。「勝てるんだったらこのチームで勝った方がいい。田舎のチームがこんなように勝ったら、次の試合別人のようになりますよ。勝てるんだったら、苦しんだ方がいい」と、成長を続ける現チームで節目勝利を狙う。2時間39分の激戦を制し、次戦は前橋育英戦。「1回ぎりぎりで生き返った。後は思い切ってやるだけ。命は大切にします」。そのタクト同様に“馬淵節”も健在だった。【磯綾乃】
◆節目勝利を達成した際のコメントにも注目だ。馬淵監督は今大会開幕前の甲子園練習で「50勝したら辞めなあかん。出来るだけ長くやるために…」と冗談めかして話していた。市川は「結構本気に…(とらえています)」という。昨年の夏に3回戦で勝利し、通算47勝とした時にも「10年くらい前から50勝できたら辞めようと思っとる。あと2、3年でできるやろ」と話しており、どんな馬淵節で飾られるか。

