メジャーから日本球界に復帰した楽天の前田健太投手(38)が、今季初勝利をマークした。18歳も離れているがPLの後輩でもあり、まだ勝てていないという現状は、気になっていた。

「これなら勝てる」というピッチングを見せてくれた。真っすぐのスピードは150キロをマークし、制球力もビタビタとコーナーに決まるほどではないが、まずまず操れていた。これぐらいの球威でそこそこ制球力があれば、変化球を有効に使うことができる。この試合の球審はストライクゾーンがバラバラだったが、ベテランらしい粘り強いピッチングと冷静な駆け引きで乗り切っていた。

ただし、これからの登板で勝ち星を積み上げていくために、私なりに感じた課題点を挙げておきたい。2点をリードした7回表1死一塁、打席の平沢に対してカウント0-1から高めの釣り球を投げて甘くなり、あわや同点ホームランになりそうな打球を右翼ポール際に打たれた。

前の打者でもあった桑原にも、同じ釣り球を投げて甘く入っていた。桑原は空振りして助かったが、同じミスを繰り返したことになる。ピッチャーが高めの釣り球を投げるときにありがちなミスで、必要以上に力むため、引っ掛け気味になって甘くなりやすい。同じ制球ミスを繰り返し、勝負どころで危うく白星をふいにするところだった。

ただし、この釣り球を制球ミスしないように磨いていけば武器になる。この試合ではあまり投げなかったが、前田健には落差のある縦のカーブがある。釣り球を有効に使えるようになれば打者の目線も上がるし、このカーブが生きてくる。全盛期の球威は取り戻せないが、緩急を使った奥行きのあるピッチングができると思う。

勝てなかったときは球威を出そうとして引っ掛けたり抜けたり、リリースした瞬間にボールだと分かるような真っすぐしか投げられなかった。球速は150キロが出ていたが、力んで投げるために体の開きも早く、打者は見極めやすかったと思う。フォーム的な部分を修正したのだろうが、楽天に移籍して初勝利をマーク。本人もホッとしただろう。次回の登板ではもっと楽に投げられると思う。まだまだ勝ち星を積み重ねていってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

楽天対西武 日本復帰後初勝利を喜ぶ天前田健太(撮影・野上伸悟)
楽天対西武 日本復帰後初勝利を喜ぶ天前田健太(撮影・野上伸悟)
【イラスト】前田健太の年度別成績
【イラスト】前田健太の年度別成績