静岡県高野連は6日、来春のセンバツ「21世紀枠」の県推薦校を、秋季県大会4位の静岡市立に決定したと発表した。推薦理由は「学業と部活動の両立」「強豪校に惜敗」。同校は1962年夏、82年春、01年夏と3度の甲子園出場を誇る公立の進学校。今秋は投打で粘り強さを発揮し、県準決勝では東海大会で優勝した静岡を相手に終盤まで競り合った。

 安井信太郎監督(53)から、21世紀枠の県推薦校に選出されたことを伝えられ、静岡市立の選手たちが笑顔でポーズを決めた。親指と人さし指を立てて、右手で挙げて言った。

 「リノベーション!」

 今秋の県大会から掲げているスローガンだ。過去3度甲子園出場の伝統校の良さを残しながらも、良いものを導入し、新たな付加価値を生み出していくことを意味している。今年4月から指揮を執る安井監督は、あいさつの仕方や、ウオーミングアップから見直して徐々にチームを改革。同県大会に勝ち続け、準決勝では静岡に善戦し、終盤までリードする力もつけた。

 安井監督 すごく栄誉なこと。個々の力では劣りますが、静高を相手にも何とかなると実感したと思います。でも、まだ「リノベ」の途中。これからも良いものを取り入れ、完成させないといけません。

 センバツ出場が決まったわけではないが、高松勇貴主将(2年)も「素直にうれしいです。先生が来てから内野、外野、投手でのパート練習が増えたり、すごく変わりました」と改革を実感している。なお、「リノベーションポーズ」は、お笑い芸人ゴージャスのギャグ「レボリューション!」を参考に、安井監督が選手たちに伝授したもの。この日、報道陣の前でもポーズを披露し、指揮官は「これからは選手の日常会話にも『リノベってる?』なんて出てくるかもしれませんね」と笑顔で話した。

 2001年に、センバツ大会の「21世紀枠」が制定されて以来、県勢の同枠での甲子園出場は1度もない。東海地区4県での選考を経て、全国3校のみが出場できる「狭き門」だが、静岡市立ナインは「リノベ」を続けながら、朗報を待つ。【鈴木正章】

 ◆21世紀枠 困難な練習環境を克服したり、地域貢献など、野球以外の要素を選考条件に加え、甲子園出場のチャンスを広げる目的で01年から導入された。推薦校は原則、秋季都道府県大会の16強以上(加盟129校以上は32強以上)から選出。07年までは2校、08年から3校を選出(記念大会の13年は4校)。東、西日本から各1校、残り1校は地域を限定せずに選ぶ。同枠の過去最高成績は、01年宜野座(沖縄)、09年利府(宮城)の4強。