2人の怪物伝説を受け継ぐ。6年ぶり3度目の選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)に出場する花巻東(岩手)で19日、開会式の入場行進で掲げる選抜旗の授与式が行われた。選抜旗を受け取った菅原颯太主将(2年)は、09年に出場した菊池雄星(西武)、12年出場の大谷翔平(エンゼルス)を意識し「偉大な先輩に追いつきたい。日本一を目指す」と宣言。怪物2人が1年夏に背負った17番をつけ、昨季東北大会で活躍した西舘勇陽投手(1年)も、聖地での躍動を誓った。

 菅原主将は、手渡された選抜旗を大事そうに抱えて、じっと見つめた。「重みもそうですし、選ばれたことにより責任感を持った」と引き締まった表情で感想を口にした。花巻東のセンバツを語る上で、09年に準優勝に導いた菊池と、12年に大阪桐蔭・藤浪晋太郎(当時)から本塁打を放った大谷は、強烈なインパクトを残した。大谷以来6年ぶりの出場に「2人を誇りに思いながらプレーしたい。自分たちの売りの全力プレーを甲子園でできたら」と誓った。

 花巻東の新怪物と評判の西舘も、全校生徒とともにまじまじと選抜旗を見つめていた。同校が誇る2大エースが1年夏につけた出世番号17を背負った右腕は「2人は偉大すぎる。おこがましいです」と言った。しかし、続けて「先輩が成し遂げなかったものを目指す」と、頂点を見据えている。

 昨秋の東北大会で台頭した。途中登板した聖光学院(福島)との決勝こそ2失点したが、3戦に登板し防御率は1・33と佐々木洋監督(42)の抜てきに応えた。右上手から投げ込む最速142キロの直球とスプリットが武器。「投げる機会があれば優勝に貢献したい」と甲子園でも大暴れを目指す。

 佐々木監督の母校・国士舘大などで、18日まで練習してきた。西舘は「久しぶりにゲーム形式で投げ、バッターと対戦できてうれしかった。収穫もあった」と調子は上向きの様子。捕手の菅原主将は「全国で通用するボールの投げ方が分かったと思う」と評価している。東北大会で背番号1の田中大樹(2年)、西舘ら投手陣の成長に期待した。チームは来月4日から関西方面へ移動し、現地の高校と練習試合を重ねていく。次は紫紺の優勝旗を手にするため、さらなるレベルアップを目指していく。【秋吉裕介】