「親孝行アーチ」で最高のスタートを切った。優勝した11年以来の出場となる東海大相模(神奈川)が聖光学院(福島)に12-3で大勝。1回にエース斎藤礼二投手(3年)が、母の誕生日に公式戦1号の3ランを放った。投げては9回途中3失点の粘投。“二刀流”の活躍で大阪桐蔭の2連覇に待ったをかける。
チーム1号を自分が打つとは思っていなかった。逆転し、2点リードの1回裏2死一、二塁。斎藤が内角スライダーを振り抜いた。打球は右翼ポール際へ吸い込まれた。「うれしかったけど、自分がチームで最初に打っちゃったと思った」。昨秋の「公式戦防御率0・00男」が放った公式戦初本塁打は、三塁側アルプススタンドで声援を送る母徳江さん52歳のバースデーアーチとなった。
この1発が12安打12得点大勝の引き金となり、投球リズムも取り戻した。初回、先頭打者に四球を与え守備の乱れもあり1点を失った。「緊張もあって肩に力が入った」。そんなエースを強力打線がすぐに救った。1番小松が初球打ちに成功。動揺を誘い、四死球も絡んであっという間に逆転してくれた。「自分も打てて気持ちが落ち着けた」。5回から8回は3者凡退。最速140キロの直球は球速以上の伸びだった。開幕試合を制し勢いに乗る聖光学院を、マウンドを譲る9回2死まで3安打に抑えた。
「甲子園で絶対取り返す」。昨秋9月24日、神奈川大会決勝の打席で右手甲に死球を受け骨折した。手術をし、関東大会は投げられずに伝令役を務めた。黙々と体幹と下半身を鍛え1月に投球を再開し、甲子園に間に合った。「今日は真っすぐが走っていた。力感がなくても打者が嫌がる直球を投げるのが理想。ケガをする前より進化したはず」。死球を恐れることなく、内角球をスタンドインさせた強心臓ぶりにベンチも驚いた。
優勝した15年夏の甲子園を見て入学したミレニアム世代だ。仙台育英との決勝戦ではエース小笠原慎之介(中日)が決勝ソロを放った。テレビで見ていた斎藤は「自分が(本塁打を)打ったのは変な感じ」と笑ったが、目標はもちろん先輩と同じ。「今日の試合は捨てて次の試合に集中。目標は全国制覇です」。母への誕生日プレゼントはホームランボールにした。優勝旗も見せられたら、最高だ。【和田美保】

