父と同じ舞台に立つ。知徳の播磨仙一投手(3年)は昨秋までは変化球を多投し、打たせて取る軟投派投手だった。しかし、春以降に球速が最速136キロまで伸び、佐藤翔投手、小船歩投手(ともに3年)らと肩を並べるまで力をつけた。91年に市沼津で甲子園に出場した父和裕さん(45)譲りのスライダーと、自身で鍛えた直球を武器に、甲子園出場を目指す。

 見違えるほどの成長だ。スピンの効いた直球がキャッチャーミットに吸い込まれ、気持ちの良い音が響く。中学の三島シニア時代には投球の9割近くが変化球だったが、今は直球が武器だ。播磨は「以前は直球を投げれば狙い打ちされていたが、今は三振も取れて自信がある。調子いいです」と胸を張った。

 昨秋は120キロも出ず、周囲から「今のままでは上のレベルで通用しないぞ」と指摘された。2月の追い込み練習で、3日連続で、合計1000球以上を投げ込んだ。「上半身と下半身の使い方のコツがつかめた」と冬季練習に自重トレーニングでつけたパワーを生かすすべを習得した。

 今春の東部地区大会で公式戦初登板初先発を経験すると、6月に入り、最速136キロをマークした。9日には甲子園出場経験のある日川(山梨)相手に5回1失点(自責0)で5者連続を含む9三振を奪った。播磨は「直球が良くなり変化球も生きてきた」と手応えをつかんだ。

 父和裕さんは91年に市沼津で甲子園に出場し、元ヤンキースの松井秀喜氏(44)と対戦。スライダーで三振を奪った。播磨のスライダーも中学時代に父から教わった。「父ほどのキレはないですが、自分も甲子園で強打者と対戦したい」と目標を口にした。

 名前の仙一は、今年1月に亡くなった星野仙一氏(享年70)にちなみ、和裕さんが命名した。播磨は「監督から『熱くならない選手は、夏に勝てない』と言われているので、星野さんのような熱い投球で、父を超えたい」と燃える男になり、100回目の夏を一層、熱くさせる。【大野祥一】

 ◆播磨仙一(はりま・せんいち)2001年(平13)1月18日、三島市生まれ。小2から中郷ファイターズで競技を始め、中学は三島シニアに所属。家族は両親、妹。172センチ、77キロ。血液型B。