第100回全国高校野球選手権記念大会に出場する常葉大菊川(静岡)が今日14日、第1試合(午前9時30分開始)で日南学園(宮崎)との2回戦に臨む。チームは兵庫・伊丹市内で約2時間の最終調整。益田東(島根)との1回戦でバックスクリーンに本塁打を放ち、一躍全国区となった奈良間大己主将(3年)を中心とした強打で、県勢9年ぶりの夏2勝を目指す。

 ピンストライプ軍団をけん引する「静岡のジーター」として、全国の高校野球ファンに名をはせた奈良間に、子どもたちが集まってきた。調整を終えた主将の元に、色紙やボールを持った地元小学生が列をつくり、球場は即席のサイン会場と化した。きちんとした楷書で、1人1人、丁寧に対応した奈良間は、少し照れくさそうに話した。

 「サインは初めてです。甲子園(の試合)より緊張しました。応援は励みになるし、力になります」

 サインを求めたのは、伊丹市の鴻池小フレンズでプレーする子どもたち。3番捕手の井上悠真くん(6年)は、奈良間の本塁打をテレビ観戦したという。「プレーしてる時は真剣なのに、サインの時は、めっちゃ笑顔。優しくてカッコよかった。プロにいくと思います」と興奮した様子。球場外に飛び出したファウルボールを拾い、サインをもらった森川きらりちゃん(2年)も「うれしい」と、はにかんだ笑顔を浮かべた。

 奈良間に引っ張られるように、菊川打線は好調を維持している。日南学園のエース辰己凌晟(3年)は、丸亀城西(香川)との1回戦で4安打完封を飾った技巧派右腕で、シュート気味に落ちるチェンジアップが最大の武器。奈良間は「低めのチェンジアップの見極めがカギ。逆に得意のチェンジを狙うことも考えられます」と話す。4番で左打ちの根来龍真捕手(3年)も「左打者は(チェンジアップに)苦戦しそうなので、右の奈良間や琳央(鈴木内野手=3年)がカギになる」と分析する。「前半に点数を取れれば、こっちのペースになる」と奈良間。2戦続けて活躍し、チームを勝利に導けば、ファンの数はさらに増えそうだ。【鈴木正章】