第91回選抜高校野球大会に優勝し、平成最初と最後の甲子園制覇を果たした東邦(愛知)が、再スタート初戦に敗れる波乱があった。今月3日のセンバツ決勝で習志野(千葉)を破って以来、17日ぶりの公式戦。中部大第一との2回戦に1-5で完敗した。夏の愛知大会シード権も逃した。

センバツでも好投した奥田優太郎投手(3年)が先発したが、3回に4安打を浴びて3点を失うと、5回にも打ち込まれて5失点。救援した植田結喜投手(3年)が力投したが、5点が致命傷になった。打ってもわずか5安打。相手右腕の磯貝和賢投手(3年)の内角を鋭く突く投球に、何度も詰まらされた。守備のミスも失点につながった。

センバツ決勝で甲子園大会初の2本塁打&完封勝ちの離れ業を演じたエース石川昂弥主将(3年)は、しばらくは野手に専念するため背番号5で登録。「3番三塁」で出場し、内野安打2本。ただ、4打席でいい当たりはなかった。

「守りからリズムを作れなかったのが、最後まで響いた。監督に(試合後のミーティングで)甲子園で優勝したけど、こんなもんだと言われた。やってみて、自分たちもこんなもんだと感じました。これでまた1から。レベルの低さが分かったので、謙虚に練習に取り組み、もっともっと力をつけたい」。

森田泰弘監督(60)はミーティングで「もう夏は始まってるよ」と選手に声をかけた。「ある程度、予想していた。相手の投手がいいのも分かっていたので。甲子園で勝って注目されている中で、今までと違う入り方をしていた選手もいたかもしれない。普段できることができていなかった」と淡々と振り返った。

石川以外の選手の成長を春夏連覇への大きなテーマとしていたが、いきなり課題が浮き彫りになった。センバツ後は報徳学園(兵庫)との練習試合を2試合こなし春季大会に臨んだ。

チーム力アップのため、正捕手の成沢巧馬(3年)を本格的に投手兼務させたり、センバツで三塁を守った山田航太内野手(2年)を二塁にコンバートしたりと新たな試みの途中。甲子園で4番だった熊田任洋内野手(3年)を1番に入れる新打線でもあった。

同監督は「なかなか夏は厳しいですね。負けてよかったと思う。こうなった以上、しっかり強化して、戦力を上げて夏に入ります」と切り替えていた。