全国高校野球選手権新潟大会が7月6日の開会式(ハードオフ新潟)で開幕、8日から試合が始まる。日刊スポーツ新潟版では注目選手を連載で紹介。第1回は昨年の覇者・中越の左腕エース菅井道(るうと)投手(3年)。昨年12月に左肘を手術した影響で春季県大会は登板なし。夏に照準を合わせて仕上げてきた。目標の連覇のために満を持してマウンドに立つ。

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連覇がかかる夏、菅井にとっては待ちに待った夏だ「だんだんと良くなっている」。調子の上昇度は6月の練習試合で実感した。2日の蕨(埼玉)戦では手術後初完投。15日の島田商(静岡)戦では手術後最速の137キロをマーク。自己最速の141キロに近づいてきた。

昨年12月、左肘に内視鏡手術を施した。「以前から感じていた」という痛みを取り除いた。4回戦で敗退した春季県大会はベンチ入りしたが、登板機会はなし。本田仁哉監督(42)は「勝ち上がったら起用するかもしれなかったが、無理はさせないつもりだった」と夏に絞って調整させた。

ケガに泣いてきた。高校入学後、先発したのは昨秋の2回戦、十日町戦(0-2の敗戦)のみ。その後に手術をした。1年の秋季大会後にも腰痛で離脱している。その影響で2年生の春、夏は登板がなかった。苦しんだ分、最後の夏にかける思いは強い。

登板予定がなくても春季県大会は背番号1。「エースは菅井」という本田監督と、チームメートの意思。菅井は「『1番』らしいことをする」と意気に感じた。率先して練習に取り組み、試合ではベンチから大声を出す。投げられなくても“中越の1番”の自覚を行動で示した。

昨夏の甲子園で登板した2枚看板、山本雅樹(桜美林大1年)と山田叶夢(青学大1年)からもアドバイスを受けた。山本は「お前が投げて甲子園に行け」、同じ左腕で自身も左肘を手術した山田は「きっちり治せば大丈夫」と言ってくれた。先輩の励ましは胸の内に収めてある。

昨夏の甲子園はボールボーイとしてグラウンドレベルで体験した。先輩たちが1回戦、慶応(神奈川)に2-3でサヨナラ負けした場面を目の当たりにした。「あそこで1勝するのが目標」。そのために、ため込んだ力、思いを出し尽くす。【斎藤慎一郎】

◆菅井道(すがい・るうと)2001年(平13)7月21日生まれ、阿賀野市出身。山手小4年から野球を始める。安田中では少年硬式野球NGMで野球に取り組む。中越では1年の秋からベンチ入り。好きなプロ野球選手はDeNA今永。181センチ、84キロ。左投げ右打ち。