<高校野球茨城大会:霞ケ浦3-2石岡一>◇22日◇準々決勝◇ノーブルホームスタジアム水戸

セーフの判定に石岡一(茨城)・岩本大地投手(3年)はぼうぜんとした。2-2の延長10回裏2死三塁でスライダーを引っかける暴投。本塁カバーに走り捕手・飯塚から送球を受ける。滑り込んできた霞ケ浦の三走に触れた自信はあった。「審判の判定。何とも言えません」と涙をのんだ。

ネット裏で「またか」と声が漏れた。21世紀枠で出場した今春センバツ。初戦の盛岡大付戦も2-2で延長に入り、11回裏1死満塁で悪送球を犯しサヨナラ負けした。雪辱を期して臨んだ最後の夏。常に試合を意識し、投げ抜く体力をつけた。打っても適時二塁打とスクイズでチームの全得点を挙げた。あっけない幕切れでも「終わってみれば悔いはないです」と言えた。手を添えてくれた人がいたから。

川井政平監督(44)は「違う終わり方をさせてあげたかった。報いてあげられなかった」と男泣きした。直球一本やりで崩れる岩本を突き放した時もあった。悲劇は繰り返されたが、監督には違って映る。「質が全く違う。力ない負けだったのが、成長し、高いレベルで駆け引きした上での負け」。好ゲームだった。

川井監督 石一を選んでくれて感謝です。

岩本 川井先生の熱い気持ちがあったから、ここに来ました。怒られることも多かったですけど。

師弟の3年間が終わった。【古川真弥】