仙台商は渡俊介内野手(2年)の“主演男優賞”で、03年以来16年ぶりの4強を決めた。

相手左投手を想定して下原俊介監督(48)から1番に抜てき。1-2の5回裏1死一、二塁で右中間に逆転2点適時三塁打を放つなど、2安打3打点2得点でコールド勝ちを演じた。「最初の打席にチェンジアップで三振だったので、また同じ球が来ると思っていた。気持ちで打ちました」。描いたシナリオ通りの殊勲打に胸を張った。

仲間からも「わたりさん」と呼ばれるスターだ。「親戚以外に出会ったことない珍しい名前だし、渡哲也さんと同じなので格好良いし、うれしい」。甲子園の大舞台には、83年夏から遠ざかり、春は67年以来の出場に挑む。新チームになってからの打撃練習では、飛球を打たずに低い打球を徹底している。「今日も低い打球を出せば何かが起こると思って打席に立った」。“あがり症”脱却の打線で、得点率も向上してきた。

小道具もしっかり有効活用する。4回には佐藤圭悟内野手(2年)、5回にも高田大翔内野手(2年)がスクイズを決めて加点。代打出場の斎藤陸内野手(1年)もバント安打で続いた。2失点完投のサイド右腕・斎賢矢(1年)は「学校の歴史を変えていければ良いと思っています」。00年以来19年ぶりの東北大会出場へ、役者がそろってきた。【鎌田直秀】