漫画「ドカベン」の作者、水島新司さん(81)が1日、引退を発表した。ドカベンは神奈川の高校野球を舞台にした名作だが、大和市の大和スタジアムは、96年の球場改修時に「ドカベン」の登場人物である山田太郎捕手と里中智投手のブロンズ像が、球場正面に設置された。球場内にはイラストも飾られ「ドカベンスタジアム」の愛称で知られる。

大和スタジアムが完成したのは1980年(昭55)で、ドカベンが連載開始した1972年(昭47)当時は存在していなかった。当初は引地台球場として知られていた。ドカベンの舞台は主に、保土ケ谷球場(現サーティーフォー保土ケ谷球場)だった。

大和スタジアムは現在、高校野球の神奈川大会で使用球場となっている。それでも、管理を行っている財団の職員、下田明さん(53)は「今は改修の当時を知る者はいないのですが、初期には『神奈川を制するもの全国を制す』(ドカベンに登場する名セリフ)の舞台は保土ケ谷球場ではないかとクレームも来たりしたらしいです」と明かした。

SNSでの自撮り写真が流行し、テレビ番組で取り上げられ、数年前にドカベン像の前で写真を撮る若者が急増した。現在は沈静化したが、同じく山田太郎の銅像がある新潟市の商店街で「ケツバット」と呼ばれるポーズの写真が話題となった影響もあったようだ。

水島氏の引退に、下田さんは「50歳ぐらいの人は皆さん(ドカベンを)知っているでしょうから、引退は残念です。ですが、高校球児にエールを送るようなブロンズ像、作品は残りますから」と話した。【斎藤直樹】