佐伯鶴城が初戦となる2回戦で大分国際情報に快勝した。プロ注目スラッガー・古川雄大外野手(3年)は4打数1安打2得点で貢献。昭和中3年時にはリレーで全国大会に出場したことがあるスピードスター。4度目の夏制覇へ、屈指の身体能力を誇る好選手の躍動は欠かせない。

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高校通算20本塁打の打棒よりも、50メートル6秒フラットの足が観衆の視線をくぎ付けにした。古川は塁を蹴るごとに加速した。地面を蹴ってはねる黒土。スライディングで舞う黒土。濃い塊がそのスピードを物語っていた。

2回先頭。変化球にバットを合わせ、左翼手の左に落とした。相手は打球に回り込み、処理。もたつきのないスムーズなプレーだったが、古川の足は一塁ベース手前で加速した。遊撃手を中継して二塁送球も足が勝る。右拳で高らかにガッツポーズを決めた。「外野に飛んだらどんな打球でも二塁を狙っている」。心に刻んだポリシーは最後の夏でも発揮された。

3回1死一、二塁では二塁走者として、またも足を輝かせた。6番疋田(ひきだ)祐輝内野手(3年)の強い左前打に迷うことなく三塁を蹴って一気に加速。あっという間に生還し、クロスプレーにもならなかった。「足でグラウンドを駆け抜けるのが自分の良さ」。ダイヤモンドを疾走し続けた。

驚異的なスピードは中学時代に培われた。土日は佐伯ボーイズでプレーしたが、「学校の部活で野球につながるものを」と、平日は陸上競技部に所属。当時100メートルは11秒4を計測し、4×100メートルリレーのアンカーとして全国大会にも出場した。「陸上でトレーニングしていたらこのような足になってしまった」とスプリンターも兼ねていた日々を振り返る。

「球界最高打者の柳田悠岐を超える選手になりたい。まずは大分県大会で一番良い打者になって甲子園に行きます」

96年夏を最後に甲子園かた遠ざかっている古豪・佐伯鶴城。26年ぶりの聖地に導くのは、ずばぬけた身体能力を誇る古川雄大かもしれない。【前山慎治】

◆古川雄大(ふるかわ・ゆうだい) 2004年(平16)5月25日、大分県佐伯市生まれ。上野小4年時に野球を始める。昭和中時は土日は「佐伯ボーイズ」でプレーし、平日は同校陸上競技部に所属。当時100メートル走11秒4を計測し、4×100メートルリレーで全国大会にも出場。高校通算20本塁打。理想とする選手はソフトバンク柳田。遠投100メートル超。50メートル走6秒0。186センチ、89キロ。右投げ右打ち。