第106回全国高校野球選手権は、京都国際の初優勝で幕を閉じました。日刊スポーツ東北6県版では「書き切れなかった東北の夏 2024」と題し、記者が見た今夏の一幕を、全4回でお届けします。最終回は友情応援に見た、吹奏楽部にとっての“聖地”についてです。
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甲子園では部員や楽器の数が足りない、大会に出ているなどの理由で、他の大学や高校の吹奏楽部が友情応援で演奏することも少なくない。初出場だった聖和学園(宮城)の吹奏楽部は、卒業生約15人や、宮城代表で東北大会に出場する東北学院榴ケ岡(つつじがおか)の吹奏楽部20人らとともに演奏した。
東北学院榴ケ岡はコンクールと日程が重なり、宮城大会での同校の野球応援はかなわなかった。自分たちの学校の応援とはならずとも、甲子園で演奏。聖和学園の部員とともにバスで12時間以上かけて聖地に来た同校の太田帆南部長(3年)は「初めての経験だったので、楽しみだった。他の部員もめっちゃ喜んでいて、光栄な機会」とうれしそうだった。
聖和学園の吹奏楽部・三沢真由顧問(24)は東北学院榴ケ岡の卒業生。さらに同顧問は東北学院榴ケ岡の最上巌(いわお)顧問(51)の教え子。そんな関係もあって人数不足から母校に応援の応援を依頼した。8月上旬までコンクールでライバルだったが、甲子園では力を合わせた。三沢顧問は「ありがたいし、すごく心強い」と母校との共演を喜んだ。最上顧問は聖和学園カラーである紫のトロンボーンを吹き、気合を入れて演奏。「(生徒たちは)すごく良い経験になっていると思う」と話した。
甲子園は決して高校球児だけが憧れる場所ではない。吹奏楽部やチアリーディング部などにとっても、憧れの場所だ。大会中に取材した複数校の吹奏楽部員は甲子園での演奏を喜び、野球部への感謝をこめて応援していた。私も中学、高校時代には管弦楽部に所属しており、夏休みや春休みに高校野球を見ながら「甲子園で演奏してみたいな」と思っていた。母校には野球部がなく、文字通り「かなわぬ夢」だったが…。【塚本光】

