開星が甲子園初の継続試合寸前、タイブレークを劇的なサヨナラ勝ちで制した。14年ぶりに甲子園で勝った元美術教員の「山陰のピカソ」こと、野々村直通監督(73)も感慨深げだ。「こういうゲームを甲子園でできるのは素晴らしい。魂のあるチームだと思います」。
9回に2点リードを追いつかれ、今大会初のタイブレークに突入。延長10回表を0に抑えたその裏無死満塁。9回守備から出場していた前田翔太外野手(3年)が決着の中犠飛を放った。島根大会から4打席目。タイブレークの打席は初でサヨナラ打も人生初。しかも甲子園の大舞台。「みんながホームに集まってきたところでサヨナラなんだと思った」と声を弾ませた。
試合終了は午後1時31分。ルールでは同30分を過ぎると新たなイニングに入らず、同45分の状況で一旦試合を止める。10回裏が無得点、または同45分を過ぎれていれば、初の継続試合になる寸前だった。「(時計も)ちょくちょく見ていました。自分が決めないと流れが変わってしまうので、結果を残すだけでした」。
ナインはルールをミーティングで確認し、タイブレークの練習も入念に行ってきた。野々村監督は「私は全然興味がなくて。子どもたちに任せたのがうまくハマッた感じ」と喜んだが、サヨナラのホームを踏んだ代走松尾直和内野手(3年)はチーム1の俊足。しっかり策を打っていた。
2回戦は強豪の仙台育英が相手だ。「大横綱ですから。ウチはふんどし担ぎ。力を出し切って玉砕してくれたらいいと思っています」とはぐらかした。野々村節は健在だ。無論、やる気に満ちている。自らを「おじじ」と表現する名伯楽は、孫世代の選手たちと甲子園を楽しむ。【林英樹】
◆開星対仙台育英 2回戦でぶつかる両校は10年夏1回戦でも対戦。当時の開星は同年春に野々村監督が21世紀枠の向陽に1-2で敗れた後、「末代までの恥。腹を切りたい」などと発言したことで辞任。山内弘和新監督の初陣だった。185センチ、91キロの巨漢エース白根尚貴(元DeNA)、糸原健斗(現阪神)らを擁し、5-3とリードしたが9回表2死無走者から3点を奪われるまさかの逆転負け。1点差に詰め寄られた後、試合終了かと思われた平凡な中飛が落球となり、2者の生還を許した。
◆3元号で指揮 開星・野々村直通監督は広島の府中東監督時代から昭和、平成、令和の3元号で甲子園出場となった。過去に3元号で甲子園に出場した監督は阪口慶三監督(東邦、大垣日大)、佐々木啓司監督(駒大岩見沢、クラーク)、小倉全由監督(関東第一、日大三)の3人。今大会では聖隷クリストファー・上村敏正監督も3元号出場となる。

