全米で大フィーバーを巻き起こしたエンゼルス大谷翔平投手(24)の2018年を、担当として密着した斎藤庸裕記者が振り返った。

二刀流はチームの観客動員や財政面でも多大な貢献をした。

◇     ◇

「大谷フィーバー」はビジネス面でも多大な影響をもたらした。エンゼルスのグッズ売り上げでは大谷がチームトップ。具体的な売上高は非公開だが、ティム・ミード広報部長は球団への大谷の貢献度について「とてつもなく大きい。国際的にも(エンゼルスの)知名度がすごく上がったと思う」と、うなずきながら強調した。

「ミリオンダラースマイル」。同広報部長は大谷の笑顔をこう表現した。「成功しているアスリートやエンターテイナーは、飛びっきりのスマイルがある。それが、人を元気づけるんだ」。大谷は二刀流で開幕から好スタートを切った。2018年の試合別動員数で最多と2位は4月に記録された。いずれも大谷の登板日だった。球場付近は試合開始の約4時間前にはすでにファンの車でごった返しになるほどだった。最多を記録した4月17日のレッドソックス戦では球団史上2位となる4万4822人が集まった。右肘の故障後に勢いはしぼんだが、「大谷効果」は集客面でも大いに貢献した。

スポンサーシップ契約では、シーズン開幕前の時点で約2億円の利益が上がった。大谷の個人スポンサーだった寝具メーカー「東京西川」は、開幕と同時に新たに球団とも契約した。スポンサー担当者が「全ての企業が興味を持ってくれた」と振り返るように、日本企業だけでなく米国企業からも新たなスポンサー契約の申し込みが殺到した。大谷の二刀流挑戦がアメリカ球界全体を盛り上げたことで、前年比で日米合計10社の契約増となった。

大谷の活躍もあって、チームのスター選手トラウトもより一層、注目された。トラウトと大谷を合わせた「トラウタニ」という言葉も生まれた。今後、集客のプロモーションの一貫で「トラウタニ」のボブルヘッド人形を作るプランについても、ティム広報部長は「大いに可能性はある」と明言した。大谷とトラウトをエンゼルスの“2大スター”として売り込んでいくつもりだ。来季、打者に専念となっても「大谷フィーバー」は続きそうだ。【MLB担当=斎藤庸裕】