MLBのシーズン開幕が迫る中、山口俊投手が所属するブルージェイズの「ホーム」探しが続いている。MLBで唯一カナダに本拠地を置くブルージェイズは現地18日、カナダ連邦政府から国境を越えるMLBチームによる試合開催を認可しない方針を決定されていた。

これはカナダが1日の新規感染者が700人程度になるなど新型コロナウイルス感染の抑え込みに成功しつつあるのに対し、アメリカでは1日に6万人以上の感染が判明する状況が続き、感染拡大が続いていることが背景にある。アメリカとカナダの国境は封鎖が続いており、ブルージェイズとその対戦チームの往来を特別に許可することは感染の再拡大につながる可能性があると、カナダ連邦政府が懸念し、許可しなかったのはある意味妥当な判断だといえよう。

特に60試合制の今シーズンの特別スケジュールではア・リーグ東地区のブルージェイズはアメリカでも特に感染者が多いフロリダ州に本拠を置くレイズとマーリンズとの対戦が組まれているのだからなおさらである。

実際不許可になるだろうという予測は早くから出ていた。そのため不許可の判断が出た時点ですぐに3Aの本拠地でもあるニューヨーク州バッファローやスプリングトレーニング施設のあるフロリダ州ダンイーデンが挙がっていた。ただ例え無観客での開幕となってもその後の入場緩和の可能性などもあり、メジャーチームのスタジアムを希望する声もあったのである。

ここでもブルージェイズの動きは早く、19日ににはピッツバーグの地元紙ピッツバーグ・ポストガゼットがパイレーツの本拠地PNCパークと交渉に入ったと報道。さらに21日にはPNCパークを共用することに内定したと伝えたのである。

が、事態はさらに急転する。22日、AP通信などがペンシルベニア州の保健当局がブルージェイズがPNCパークを使用することを許可しなかったと報じたのだ。州の保健長官レイチェル・レビン博士は「ここ数週間、ペンシルベニア州南西部でCOVID-19の症例数が大幅に増加しています。プロのスポーツイベントを含む、何らかの理由で旅行者をこの地域に加えることは、居住者、訪問者、および両チームのメンバーを危険にさらします」と却下の理由を述べている。実際地元アレゲニー郡ではここ2週間で新規感染者が10倍になったということだ。

ブルージェイズは24日にフロリダ州タンパベイのレイズ戦で開幕戦を行い、29日にはナショナルズと「ホームオープナー」を行う予定となっている。さらなる「ホーム」探しにかけられる時間は短い。

チームを隔離できるスタジアムや宿泊施設など条件は厳しい。一つの案として対戦相手のスタジアムでホームゲームを行う「トラベルチーム」での開催も取りざたされているが、それも調整が必要だ。ブルージェイズがどんな開幕を迎えるか、注目が集まっている。