【メサ(アリゾナ州)3日(日本時間4日)=斎藤庸裕】ダルビッシュ有投手(32)が、キャリア最高のスライダーを手にした。ホワイトソックス戦で2回27球を投げ無安打無失点、3三振を奪った。前回登板では変化球に課題を残したが、この日はスライダーも切れ味抜群。自己採点で「100点」と自画自賛した。直球も最速97マイル(約156キロ)をマーク。先発として大きく期待される移籍2年目のシーズンへ、状態の良さをアピールした。

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ダルビッシュ史上、最高のスライダーが打者の手元でグイーンと変化した。2回2死、右打者のアンダーソンに対し、88マイル(約142キロ)の高速スライダーを外角低めに沈め、空振り三振を奪った。「スライダーは100点かな。今日はコントロールも良かった」と納得の内容。これまでレベルアップを重ねてきたスライダーの中でも「ベストじゃないかな」。理想的な軌道で空を切らせた。

曲がり方の細かな違いに、一流だからこそのこだわりがあった。「(変化が)横じゃなくて斜めになってるから、空振りしてくれる。横だと、どんなに良いスライダーでもバットの先で当てられる」。切れ味が鋭くても、横の変化だけならメジャーの打者はついてくる。そこに、上下の変化を加えると目がついてこれなくなり、空振りが奪える。この日のスライダーは「打者の目線を浮かせる」もの。これまで以上の精度に「本当に良かった」と、確実な手応えをつかんだ。

直前まで、フォームの試行錯誤が続いていた。「(投げる)リズム、タイミングをパッと変えた」と、突貫工事で臨んだ投げ方でキャリア最高のスライダーにたどり着いた。「もうちょっと球速を落としたい」と微調整を加える予定だが、裏を返せば予想以上に球速が出ていたとも言える。直球の球速も最速96マイル(約156キロ)をマーク。それだけ、腕が振れていた証拠だ。「スプリットも良かったし、全体的に良かった」。振り返る言葉にも今季の状態の良さが伺える。

開幕投手候補のエース左腕レスターに次ぎ、今季は先発2~3番手として期待される。MLB公式サイトによれば、マドン監督も「自信をつけてきている。体の状態も良い」と満足そう。約6カ月ぶりの実戦で極度に緊張していた前回登板に比べ、ダルビッシュは「全然大丈夫。ヤバい感じではなかった」と笑った。カブス移籍2年目のシーズンへ、心身共に順調だ。