同じ本を何度読みますか? 来季、投打二刀流で完全復活を目指すエンゼルス大谷翔平投手(25)のインタビュー後編は、冷静に物事を見定める思考に迫った。読書の仕方から見えた独特の考え方。1つの見方にとらわれず、多角的、多面的な視点で生きる姿は野球にも通ずる。チーム再建を託され、ともに世界一に挑むマドン新監督の第一印象と合わせ、来季への決意も語った。【取材、構成=斎藤庸裕】

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まず初めに、座右の銘を色紙に書いてもらえないかと頼んだ。間髪入れず、「ないです!」と断られた。インタビューで理由は明白になった。だが、悩んだ時など、人はことわざや名言をよりどころとしたくなりがちだ。大谷はこう続けた。

「自分が大事だと思っている言葉があるのは素晴らしいことだと思います。僕はそういうタイプではないというだけで。それ(ある言葉や名言)がいいと思っている人にとってはベストかもしれない。僕は、それだともったいないかなと思ってしまうタイプで、やらないというだけで。それ(信じること)はそれで、いいことだと思いますね」

十人十色、個性があっていい。自分だけでなく、人それぞれの考えを尊重する。25歳にして、まるで人生経験を多く積んできた識者のよう。どうやって、物事を中立的に捉えられるようになったのか? 「あまのじゃくなので。あまり偏りなくいきたいと思いますけど」と笑った。ちょっぴり照れながら答えた姿は、あどけない青年そのもの。野球取材だけでは分からない、等身大の大谷翔平を少し、知れた気がした。【MLB担当=斎藤庸裕】