プロ野球ファン注目の一戦は、「主砲」が「開幕投手」に完勝した。24日、沖縄・名護の日本ハム紅白戦で、中田翔内野手(25)と大谷翔平投手(20)の実戦初対決が実現。1回に左前打を放った中田が、4回の第2打席にもバックスクリーン右へ豪快弾をたたき込み、2打数2安打と貫禄を見せた。一方の大谷は4回2失点とはいえ9奪三振。「平成のON」が、あらためて高いレベルを示した。

 体全体から「ドヤッ」があふれた。“勝利インタビュー”を終えた中田が、近くを通りかかった大谷に声を掛けた。「お疲れさ~ん!」。余裕しゃくしゃく。満面の笑み。5歳年下の開幕投手は「…風っすよ」と言い返すのが精いっぱいだ。

 中田 雨で中止になれ、と思ってたけど、結果、僕が勝利する形になったんでね。雨が上がってくれてよかった。気持ちのいいスイングができました。

 降雨で開始が25分遅れた「初対決」は、バックスクリーン右へ1発をたたき込んだ中田に軍配。日本の4番が意地を見せた。

 初球が“ゴング”だった。1回2死一塁の第1打席。「すごい打者。体も大きい」(大谷)。「やっぱりオーラがある。特別だと思う」(中田)。18・44メートルの距離でにらみ合った。注目の1球目。148キロ速球が、予期せぬ軌道で中田の胸元をえぐった。「あれは、ちょっと抜けました」。大谷は制球ミスに冷や汗。だがマウンドを目で威嚇する中田の“演出”に、スタンドのボルテージは最高潮に達した。3球目の直球を左前にはじき返し、まずは中田が先勝した。

 そしてハイライトとなる4回だ。一転して変化球主体の展開。3球スライダーが続いて2ボール1ストライク。「捕手の配球通り」、大谷は4球目に直球を選択した。外角を狙ったこん身の154キロ…が、甘く入った。中田は「速かった」とやや差し込まれたが、筋骨隆々の腕で押し込むと、打球は2人の視線の先でフェンスを越えた。「(味方なので)外にしか投げられないので…。風に乗りながら飛びました」。大谷の“強がり”は、悔しさの裏返しでもあった。

 この日は2軍から5人の新人が招集され、渡辺、石川亮、岸里の2年生もいた。あえて「中田対大谷」にチーム編成をしたのは、球界の中心となる2人の対決を見せ、雰囲気を感じ取って欲しいという意図もあった。栗山監督は「ファンのみなさんが楽しんでくれたならよかった」と話したが、夢対決に真剣なまなざしを向けたのは、ファンだけではなかったようだ。

 中田には完敗したものの、外角中心という「制限」がかかる中で、4回9奪三振と圧倒的なパフォーマンスを見せた大谷は「全体的にはよかったです。どのボールもよかった」と順調な仕上がり。一方の中田も「翔平はまだ調整段階。この時期に速い球を見られたことは収穫だった」。投打の主役は、今後はタッグを組んで他球団を震え上がらせる。【本間翼】