キングにテラス席は不要だった。西武中村剛也内野手(31)が6回無死一塁、摂津の初球カーブを完璧に捉えた。今季からヤフオクドームは左中間、右中間が約5メートル縮小されるホームランテラス席を設置。まだビジターの選手は1本もその特設エリアに入れていない。だが恩恵は必要ないとばかりに、左中間席前列に3戦ぶりの6号同点2ランが飛び込んだ。「スタンドに入ると思いました」と昨季までの球場サイズでも本塁打に仕留めた感触が残っていた。

 23日の練習後、テラス席について質問が飛ぶと、一緒に歩いていた森本が言った。「さんちゃん(中村)にその質問は失礼でしょう。僕らみたいな選手に聞いて下さい(笑い)」。中村は「特にないです」とだけ言い、静かに笑っていた。

 関係ないことを試合で実証した。この日の試合後も森本が「テラス席もあるから打った瞬間、入ると思った」と水を向けると「ていうかテラスだと恥ずかしいじゃないですか」と希代の長距離砲の誇りをボソッと口にした。

 空砲では意味がない、というのも誇りの1つ。7回1死一、三塁からは左中間突破で勝ち越しの2点適時二塁打。1人で全4打点を挙げた。今季11勝中、5度の勝利打点を稼ぐ。「普通の得点圏打率(2割9分4厘)はあまり打てていないけど、いいところでホームラン、ヒットが出ていますかね」。中村が強烈な印象を残すほど、西武の白星が量産されていく。【広重竜太郎】

 ▼中村が6回に同点2ラン、7回に勝ち越しの2点二塁打を放ち、肩書付きの殊勲安打は今季9本目。パ・リーグの殊勲安打数上位を出すと、(1)中村(西武)9本(2)カラバイヨ(オリックス)6本(3)柳田(ソフトバンク)角中(ロッテ)5本で、中村がリーグ最多。本塁打は6本のうち4本が肩書付きで、打点も18点のうち13点が殊勲安打絡みと、勝負強い。