日本ハムが栗山英樹監督(54)の積極采配で、防御率0点台のソフトバンク大隣を攻略した。1点を追う6回無死1塁でバスターエンドランの大胆な作戦を敢行。好機を広げ、2死満塁からハーミッダの走者一掃となる右中間二塁打で一気に逆転した。貯金は3年ぶり、今季最多の8に増やした。

 大勝負に出た。栗山監督は、息をのみ、戦況を見つめた。6回無死一塁。バントの構えで初球を見逃した西川は、2球目もバットを横にした。相手は防御率リーグ1位の大隣。1、3回、先頭打者が出塁すると、この日は必ず送っていた。

 だが、サインは違った。バスターエンドラン。高いバウンドが弾み、遊撃への内野安打で一、二塁と、一気に好機を拡大した。「それはいいや、ハーミッダがよく打った。作戦はほっといて」。主役は選手。就任以来、勝ちゲームで自身の采配を語ったことはないが、劇的逆転勝利を、ベンチから演出した。

 松本の犠打、陽岱鋼の遊ゴロで2死二、三塁となり、中田は敬遠気味に歩かされた。ネクストサークルのハーミッダは「燃えました」。ボールカウント2-2からの5球目。138キロ直球を、右中間へ運んだ。走者一掃の適時二塁打。「打った瞬間に抜けたと確信できた」。指揮官の期待に、一振りで応えた。

 今季4試合の登板でわずか2失点だった大隣から、1イニングで3得点。この日は休養した大谷が、代わって防御率リーグ1位に浮上した。勝利数、奪三振、勝率と合わせ、シーズン序盤とはいえ投手4冠。54歳の誕生日だった26日オリックス戦で白星をプレゼントしてくれた愛弟子に、自身のタクトできっちりとお返しした形だ。

 優勝するために越えなければいけないのが、ソフトバンクという高い壁。栗山監督は「押され気味の中でも、粘ってこういう戦いができる。ソフトバンクが強いのはわかっている。食らいついていけるように」。ベンチとグラウンドが一体となって、強敵を倒す。会心の勝利だった。【本間翼】