守護神は、あと1球の悪夢を打ち消した。阪神呉昇桓投手(32)が前夜の雪辱を果たし、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 「昨日、負けがついてしまったので勝利をつけることができて良かったです」

 8-8同点の9回に、名前がコールされた。2死三塁とされ、ここまで3安打3打点の4番今江との対決に、逆転満塁被弾した前夜の悲劇が呼び起こされる。マウンドに和田監督が駆け寄った。「どのように打者と勝負するのか話し合った」という呉昇桓は、直球勝負を選んだ。3球目、ど真ん中145キロ。高々と上がった打球は左翼最深部まで飛んだ。フェンスギリギリまで走った左翼マートンのグラブに収まった。呉昇桓は胸をなで下ろし、ベンチへ戻った。

 前日2日は9回2死満塁、フルカウントから角中に逆転満塁弾を浴びた。1球を悔やんだ守護神だったが、この日もマウンドに向かった。「気分は昨日、打たれていたので良くはなかった」と気持ちはモヤがかかったまま。完全に切り替えられたわけではなかった。それでも昨年39セーブのセーブ王は、仕事を全うすることだけを考えた。

 「先に点を取られてしまったのはしょうがない。自分が点を与えないようにしようと思いました」

 言葉どおり、任された2イニングを2安打無失点。回またぎは今年3度目。走者を出そうがものともしなかった。延長10回サヨナラ勝ちで今季2勝目。一夜で黒星を白星に変えてみせた。【宮崎えり子】