執念の采配で連敗を止めた。楽天が日本ハムにサヨナラ勝ちし、連敗を8で止めた。大久保博元監督(48)が同点の9回から守護神松井裕を投入。0点に抑え、裏の攻撃で1死満塁の好機をつくると、阿部俊人内野手(26)に初球スクイズのサイン。空振りし、2死一、三塁と流れを手放しかけたが、阿部が粘りを見せてしぶとく中前に落とし、6月21日・ロッテ戦以来の白星を手に入れた。

 殊勲のヒーローを力いっぱい抱きしめた。大久保監督はサヨナラ打を放った阿部を迎え、全身で喜びを表した。「執念! 勝つという執念だよ!」。ようやく止まった連敗に、思わず声が上ずった。

 失敗から生まれたサヨナラ打だった。9回、打席の阿部は追い込まれていた。「これを打たないと、マジ、ヤバイ」。初球、1死満塁からスクイズのサインで空振りしていた。三塁走者サンチェスはスタートを切っており、三本間で挟まれ2死一、三塁となった。好機が一転、自分のミスでピンチに変わる。「深呼吸して落ち着いた。失敗して、さらに集中しました」とグリップは拳1つ分も短く持ち、背水の思いで粘った。

 カウント1-1から4球ファウル。その間に一塁走者が盗塁を成功し、2死二、三塁となる。カウント2-2からの8球目、内角高め148キロの直球を振りぬいた。「詰まった。根元でした」と冷や汗ものの打球は、中前にポトリと落ちた。執念の一打で試合を決めると大量のスポーツドリンクで祝福された。お立ち台では「スクイズを失敗しているんで、ヒーローと言っていいのでしょうか?」と控えめに喜んだ。

 連敗脱出へ大久保監督は8回から積極的に動いた。2死一、二塁となると、二塁走者の山崎に代走阿部を送った。山崎は2安打と好調だったが「腹をくくって出した」と説明した。9回も無死一、二塁から小関に初球バスターを指示。左飛に倒れたが、1点をもぎ取ろうと必死だった。スクイズ失敗の場面も「阿部のスクイズ失敗は下(ファーム)で2回見ている。案の定空振りしたね。でもあいつは練習してた。こんなに早くご褒美が来るなんて」と結果オーライだと笑った。

 もがき、苦しみ、つかんだ6月21日以来の勝利。「本当に出来の悪い監督に選手がついてきてくれた」としみじみ言った。ちょっぴりドタバタ。デーブ連敗脱出劇場だった。【島根純】