謙さんが、みんなが「待ってまーした!」。阪神マット・マートン外野手(33)が均衡を、無得点のトンネルを、ぶち破った。5回まで無得点の投手戦。6回2死一、二塁で左翼フェンス最上部に特大適時二塁打を、ぶち当てた。巨人杉内を攻略した27イニングぶりの得点が決勝点となり、連敗を2でストップ。さあ巨人に勝ち越そう。
マートンの大飛球が浜風に乗って伸びた。巨人左翼亀井はフェンスにぶつかり、体勢を崩しながらジャンプ。ボールはグラブをかすめ、左翼フェンスラバーの上に乗っかった。そのままコロコロと転がり、地面へポトリ。値千金の2点二塁打が均衡を破った。
マートン ちょっとズレていたし、(バットの)芯に当たった感じではなかったんだけどね。いつもの浜風が助けてくれるかなと思っていたよ。
0-0で迎えた6回2死一、二塁。カウント2-2から杉内の内角高め直球に反応した。「チェンジアップ、外のスライダーをイメージしていたんだけどね」。甲子園でのゼロ行進を26イニングで止め、チームの連敗も2で止めた。
2月中旬、インターネットで寂しくなるニュースを目にした。「ジェーソン・ジアンビ、引退」。ロッキーズ在籍時の09年初秋、現役通算440本塁打を誇った左のスラッガーと同じ釜の飯を食った。「インサイドアウト」などの打撃談議に花を咲かせる時もあった。それ以上に、ふとした瞬間の一挙手一投足に感銘を覚えたという。
マートン 超一流まで上りつめた選手になれば、人格や野球に取り組む姿勢も勉強になるんだ。あれだけの選手でも、ベンチでしっかり準備していたからね。
当時、38歳のジアンビはマイナー契約からメジャー昇格したばかり。先発を外れる機会が多かった。「こっちの先発投手が悪いと見たらすぐ、試合序盤からベンチ裏に消えるんだ。言われるまでもなくストレッチやスイングを始めていた姿をよく覚えている」。準備の大切さを目の当たりにした経験は宝物だ。今、どんなに不振に陥ろうと配球や傾向をメモし、DVDでの映像研究を欠かさない。交流戦明け以降の復調は決して偶然ではない。
試合後、和田監督はマートンをV奪回へのキーマンに指名した。「これから後半勝負に入ってくる。マートンが打線のキーになってくる。もっともっと勝負強い打撃をしてほしい」。チームは借金1で2位タイに浮上した。首位巨人、ヤクルトと3チームがほぼ同率で並ぶ混セ。ロングスパートへの扉の鍵を、一気にこじ開ける。【佐井陽介】



