ルーキーの一振りが大きな勝利を運んできた。阪神ドラフト3位江越大賀外野手(22)が、7回に決勝の3号2ランだ。虎の新人では35年ぶりとなる2試合連続アーチ。藤浪の力投に応え、チームの堅首に大きく貢献。若きスラッガーが、虎を活気づけていく。

 真っ黄色の左翼スタンドに白球が吸い込まれた。二塁ベースを回った江越が腹の底から声を上げる。肩を作る藤浪も叫んでいた。ベンチ前にできた先輩だらけの列を、ウキウキと弾みながら進む。ハイタッチはいつにも増して激しかった。「うれしかったです。むちゃくちゃうれしかったです!」。0-0の7回2死一塁。2試合連発となる3号2ランが試合を決めた。

 ベンチの思いを感じていた。「いろいろな人に『結果を気にせずにいけ』と言われました」。そこまでは井納の前に2打席凡退。だが、割り切った。生かしたのは、DeNAバッテリーとの配球のギャップ。「それまで真っすぐ系を狙っていたけれど、変化球中心で攻めてきていた。変化球を狙いました」。1球のファウルを経ての4球目。読み通りのフォークだった。「狙っていたけれど、それをしっかり捉えられました!」。思い切ったフルスイングと、冷静な読みが最高の結末を呼んだ。

 「2試合連続(本塁打)は…あんまり記憶にないですね」

 江越には頼りになる兄貴分がいる。大学日本代表時代から世話になる、1歳年上の梅野がその1人だ。1軍と2軍を行き来するルーキーイヤー。2軍落ちの直後には梅野に「1本目の後の2本目が出ないんです。続かないんですよね…」とモヤモヤを打ち明けた。梅野はただただ、聞き役に徹してくれた。

 駒大時代から、打席で打ちたい意欲がにじみ出て、駆け引きが苦手だった。当時の監督からは「周りが見られるように」という理由で副主将に任命されるほど。江越は鳴尾浜で考えた。中堅を争う大和や俊介の活躍が気になる中で、あえて1軍のテレビ中継にかじりついた。「配球のことを頭に入れながら見ていました」。21日に再昇格を果たした江越には、今までになかった冷静さが加わっていた。

 「まだまだだと思うけれど、変化球もしっかり前で打てば飛ぶ。まだまだこれからなので、もっと成長したいです」

 中堅争いで少し抜け出した。だが、慢心はない。思い切りよく、冷静に。2つの要素が重なったとき、レギュラーが見えてくる。【松本航】

 ▼江越が7月22日の巨人戦(甲子園)に続き、2試合連続本塁打。阪神の新人選手としては、岡田彰布が80年に4度記録して以来、35年ぶりとなった。同年岡田はシーズン18本塁打を放ち、チーム3人目の新人王を獲得している。