投手陣の踏ん張りがあるからこそ、劇打も生まれる。阪神の先発能見篤史投手(36)が7回2失点の力投。勝利への下地をつくると、同点の8回に登板した安藤優也投手(37)は1イニングをピシャリで3勝目。最後は呉昇桓投手(33)が締めて29セーブ目だ。虎投が勝利のバトンを引き継いでいく。
勝敗はつかなかったが、能見の鬼門ナゴヤドームでの粘投がなければ、江越の劇打もなかったに違いない。7回を7安打2失点。チームが同点に追いつき、その裏を抑えたところで能見は交代となった。
「チームが勝ったので良かったです。走者がいっぱい出ましたけど、粘り強く投げられました。ピンチになればなるほど、低めを意識しました」
3者凡退はわずか2イニングだったが、負けなかった。1点リードでの4回1死一、三塁。5番和田への初球、低めを意識したチェンジアップが、捕手鶴岡の前で大きくバウンドした。暴投で同点に追いつかれた。さらに2死二塁で、6番エルナンデスに勝ち越しを許した。先制の援護は守りきれなかったが、表情を変えずに投げ続けた。チェンジアップを中心に低めに球を集めた結果、7回の江越の4号ソロにつながった。2-2の同点で中継ぎ陣にバトンをパス。試合を作り、先発投手のミッションはクリア。ナゴヤドームで黒星がつかなかったのは13年8月10日以来、約2年ぶりだった。
名古屋の地で能見が戦っているとき、古巣の社会人・大阪ガスは東京ドームで都市対抗決勝を戦っていた。試合後、バスに乗り込む直前に延長戦に突入したことを伝え聞くと、能見は「頑張ってほしいよね」と目を細めた。母校の鳥取城北は25日に鳥取大会を制し、甲子園出場を決めていた。後輩たちの頑張りが耳に届く。36歳左腕の後押しにもなった。
12年9月8日以来のナゴヤドームでの白星は、次回以降にお預けとなった。左翼スタンドで逆転劇を目撃した虎党も、踏ん張った左腕に次こそは、と思わずにはいられなかっただろう。もう鬼門とは言わせない。勝利へとつなぐ96球だった。【宮崎えり子】
▼能見はナゴヤドームで苦戦。12年9月8日に8回無失点で白星を挙げて以来、これで6試合続けて勝ち星がない(この間3敗)。今季は、ナゴヤドームを含めドーム球場で5試合に登板し0勝4敗、防御率5・52。屋外球場12試合での7勝5敗、防御率2・92から悪化している。



