神宮の打ち上げ花火に負けないド派手な1発だった。阪神江越大賀外野手(22)が1点を追う3回、左翼席へ5号ソロ。15打席ぶりの安打が反撃ののろしとなって、藤浪の2桁勝利をアシストした。打点を挙げれば10試合負けなし。ドドーンと今日も、江越花火を見せてや~。

 江越の手からオレンジ色のバットが、空中へと解き放たれた。くるくると気持ちよさそうに回る相棒。白球はそれ以上の美しさだった。江越だけでなく、3万1731人の観衆も左翼への弾道に酔いしれた。1点ビハインドの3回。フルスイングで空気を変えた。

 「バットの先の方でしたけれど、打った瞬間に(スタンドへ)行ったと思いました」

 東都の虎党で埋まる神宮の左半分はバンザイだ。左翼スタンド中段への同点5号ソロ。7月29日中日戦(ナゴヤドーム)から遠ざかっていた1発に、唇をキュッとかみしめる。そんな姿も本塁を踏むと一変した。ベンチ前にできた列を進むと、ヘルメットをはたかれる手荒い祝福が心地良い。2回に先制された嫌な流れを、ベンチから追い払った。

 真芯でなくてもスタンドへと持っていく。このパワーを生む大きな要素がフルスイングだ。小学2年生のときに始めたソフトボール。江越は「バットを握って、振り始めた最初からそう(フルスイング)なんです。誰かに教えられたとかはない。自然とそうなっていました」と原点を思い返す。楽しくボールを追いかけているうちに、強く振るスタイルは染みついた。

 自宅に帰ると、当時巨人に在籍していた松井秀喜氏の豪快なスイングに見入った。故郷長崎からすれば身近に感じにくいプロ野球。「(巨人の宮崎)キャンプには行けなかったです」と苦笑いするが、ゴジラの豪快な打撃をテレビの前で頭にすり込んだ。バット全体で運ぶ本塁打。この夜のアーチこそが、幼いころに夢見た理想型かもしれない。

 前日13日には、継続していた連続先発出場が18試合で途切れた。和田監督には悩みすぎていることを指摘され「自分のポイントで思い切っていけ!」と助言をもらった。「右対右」ながら戻った7番中堅。15打席ぶりの安打が本塁打となり、自身の打点による不敗記録は10連勝に伸びた。

 「(不敗神話は)知っていますが、あまり意識はしていません。でもチームに貢献できているということですよね。明日(15日)以降に続けたいです!」

 2軍からは左の伊藤隼が昇格し、結果を求める戦いが今後も続く。それでも、必死につかんだ定位置だけは譲れない。【松本航】