鬼門中の鬼門で、こんな援護に恵まれるなんて…。9勝を挙げてから2度足踏み、降雨ノーゲームもあった阪神能見篤史投手(36)が2年ぶりの10勝を挙げた。3回の大量7得点をバックに7回途中まで2失点。ナゴヤドームでは3年ぶり勝利とジンクスを破った左腕が、優勝戦線のローテーションを張る。
鬼門ナゴヤドームでつかんだ今季10勝目だ。それでも能見はにこやかな表情ではなく、バスへと乗り込んだ。
「うまく鶴岡さんが緩急を使ってくれました」
試合を振り返る口数が少なかった。6回1/3を5安打2失点。8-1で迎えた7回1死一塁から6番エルナンデスに中堅フェンス直撃の適時二塁打を打たれ、2点目を失ったところで交代が告げられた。ナゴヤドームの虎党は温かい拍手を送ったが、4本柱の一角は下を向きながらベンチへ歩みを進めた。
名古屋の地でやられてばかりではいられなかった。12年9月8日以来、1092日ぶりに手にしたナゴヤドームでの白星。これまで6試合続けて勝ち星がなく、3敗を喫していた。苦手としていたナゴヤドームも、大量援護に守られながら克服した。
8月23日、DeNA戦の試合前練習。京セラドーム大阪の左翼ポール付近でランニングの足を止めた。福原と話し込む姿があった。8月19日巨人戦は1イニング12失点の屈辱的敗戦を招くKOを喫した。その光景をブルペンで見ていた最年長38歳右腕からアドバイスを受けていた。「少し配球を変えてみたらいいんちゃう? 何度も対戦をしているんだから。フォークを落としても、それを割り切られたらダメになるんだから」。勝負球でも、バットを振ってもらえなければこちらが不利になる。研究をされるなら、上回っていかないと勝ちにつながらないということだ。
2年ぶりに届いた大台。プロ9年目の13年に11勝を挙げて以来、5度目の2桁勝利だ。9勝としてから3度、足踏みした。2試合続けて4回1/3で降板。悔しさを募らせた後は、雨に泣いた。1日の広島戦は11球を投じ、丸と菊池から三振を奪ったところで、ノーゲーム。中3日で仕切り直したマウンドだった。イレギュラーな調整だったが「チームが勝つことが一番ですから」。優勝争いの中で重みを増す白星を積み重ねる。【宮崎えり子】



