アドレナリンをまき散らしながら、小走りした。日本ハム栗山英樹監督(54)が叫びながら一塁ベンチを飛び出した。8回。最大7点ビハインドを3点差へ詰め、なお2死二塁。田中の中堅への飛球を、ソフトバンク福田にスライディング好捕で阻止された。ワンバウンドしたように見え、判定に猛抗議を展開。「バウンドしてるよ!」。審判団に体を寄せ合い、執念をぶつけたが実らずに敗れた。「結果がすべて」と、受け入れた。

 立ち上がりの攻防が分岐点になった。1回。メンドーサが内川に先制3ランを献上。直後に中田の失策など乱れたが、この1発のみで、しのいだ。その裏。1死から中島と田中の連打でつなぎ、1死一、三塁。反攻の起点ができた。奮起の材料たっぷりの中田が内角144キロ直球を見逃し三振。続く近藤も倒れ、無得点に終わった。1点でも反撃できていれば、流れを阻止できた可能性があった。

 旭川で、今季最後の夜。決戦を前に、栗山監督はこの地で恒例の儀式に臨んだ。球場前に鎮座するスタルヒン像に手を合わせた。ポリシーがある。「勝ち、負けを決めるのは、こっち。『勝たせてください』というお願いは、したことがない」。胸の内で何を語り掛けたのか。強い決意を秘めていた。3連戦3連勝。まず理想は打ち砕かれたが、食い下がった。

 目の前でライバルの優勝マジックは10に減り、カウントダウンに入った。ゲーム差11・5へ広がり、残り20試合。「下を向いている場合じゃない。前に進むしかない」。厳しい現実と野望のはざまで、死力を尽くしていく。【高山通史】