巨人が延長11回にサヨナラ負けし、首位阪神との差が3ゲームに開いた。7回、阿部慎之助内野手(36)の14号2ランで勝ち越し。しかし直後のディフェンスに慎重さを欠き、簡単に同点に追い付かれた。9回無死三塁の絶好機も逃し、最後はマシソンがマートンにサヨナラ打された。今日10日の同戦に勝たないと自力Vの可能性が消滅する。覇者の真価が問われる時が来た。

 4番阿部の2ランで藤浪を沈めた。7回からの3イニングを手堅く守って、阪神を1差に追い詰める。最高の筋書きができた。矢先のディフェンスが、覇者らしからぬ不用意さだった。

 サヨナラ負けに至る大きな伏線は、7回裏無死一塁からの守りにあった。好投の先発マイコラスがセットポジションから投球。同時に、三塁の真鍋塁審が鋭く挙手した。マイコラスは「分からなかった」。ボークの宣告で走者が二塁に進んだ。仕切り直し。ゴメスをカウント1-2と追い込んだ。「大事な場面で、スライダーが甘く入った」。鋭く射抜かれ1点差となった。打球は右中間でバウンドした。福留の生還を諦めた長野が、回り込んで捕球した。

 巨漢ゴメスは歩を緩めなかった。一瞬、虚をつかれた形になった。台風18号による降雨の影響で、足もとが非常に緩かった。助っ人は本拠地の利を生かし、二塁を狙った。「回り込んで、止めようと思った。シングルで止めないと」と悔やんだ。無死二塁のピンチが続き、1死三塁で伊藤隼だった。初球。選択したのは内角高めの直球だった。簡単に右翼に運ばれる犠飛。あっという間に阿部の一振りを吐き出した。

 伏兵への1球がもったいなかった。捕手小林は「打ち取ろうと思いました」と選択の意図を話した。阪神の7番は3回、内角149キロに負けず、同じく初球を右前打していた。下位に向かう打線。三塁に同点の走者がいる。犠飛は絶対、避けたい。慎重に慎重を重ねる状況がそろっていた。

 痛い1敗。10日に引き分け、あるいは敗戦で自力Vの可能性が消える。原辰徳監督(57)は「2点を勝ち越して、その後、守れなかった。勝負を焦りすぎている。アウトカウントを早めに取ろうとしていた」と強調した。1プレーの細部に逆転優勝の可能性が宿っている。【宮下敬至】

 ▼巨人は今季6度目のサヨナラ負け。首位阪神とは3ゲーム差に開き、今日の阪神戦に△か●で自力Vが消滅する。巨人の残りは17試合。過去に巨人が残り17試合で3ゲーム差以上を逆転して優勝は08年の1度だけ。08年は残り17試合の9月16日時点で首位阪神から3ゲーム差の2位だったが、残りを12勝4敗1分けで逆転した。ただし、前回は「2位」からの逆転に対し、今年は「3位」。阪神とヤクルトをひっくり返さなければならないだけに、前回よりも厳しいか。